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行政と名刺と地域ブランディングの新たな関係
 

まなぶ   たのしむ  
2021.6.17

北海道東川町の町役場に初めて伺ったとき、ご挨拶した職員の皆さんからいただく名刺が、全て同じデザインだったので、とてもびっくりしました。緊張しながら町長室に入らせていただいて、町長さんが下さった名刺も、同じデザインでした。

研究テーマの関係で、あちこちの市役所や町村役場の方と打ち合わせする機会が多いのですが、だいたい、名刺のデザインはバラバラです。ちょっとおしゃれな感じの方だと、プロがデザインしたのかな?と思うような素敵なデザインだったり、首長さんだと、毛筆調の勢いのある堂々とした名刺だったり。多いのは、そのまちの名所旧跡や特産品の写真が載っているもの。ゆるキャラがおどっている名刺も、よく見かけます。

あるまちで、名刺は自費で、つまり自分で作っていると聞いて、なるほど、だからデザインがそれぞれなのか、と納得しましたが、でも、企業の社員さんは同じデザインの名刺を持っていて、支給されているみたいなのに、なぜ行政はそうじゃないのか、不思議な気もしていました。

そこで思い切って、東川町の職員の方に、名刺のデザインが統一されている理由を質問してみました。
「“東川らしさ”を伝えたいからですね。」
東川らしさ、ですか。
「うちの町の色々なチラシやパンフレット、ホームページ、封筒、文書のフォーマット・・そういったものも、イメージを一貫させるようにしてるんです。民間企業だったら、当たり前のことですよね。」
確かに!CIとかコーポレート・ブランディングとか、そういうことでしょうか。
「カタカナ言葉は照れくさいですけど、そうですね、最近は地域ブランディングなどと言われています。」

名刺やパンフレットなどに使われているロゴ、すごくきれいな水色で印象的なんですが、これに“東川らしさ”が込められているんですか?
「ええ、東川町は『写真の町』なので、写真(Photograph)のPを旗にして、旭岳と、大雪山の雪解け水の色です。全戸が井戸水で暮らしているんですよ。」
“東川らしさ”がぎゅっと詰まってるんですね。伝わってきます。

でも、なぜ東川町では、他のまちとは違う、民間のようなブランディングに取り組めているんですか?
「う~ん、よそのまちのことはよく分かりませんが、私たちは『写真の町』事業を実施するために、民間企業とのお付き合いが多かったり、たくさんの企業に『営業』に行ったりしてきたので、その中で学んだのかもしれませんね。」
言われてみれば、職員の皆さんが、なんだかお役所っぽくない雰囲気かも。それが東川町のまちづくりの他の面でも活かされているのか、もっと知りたいと思った院生Cでした。

活まち大学大学院 院生C