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東京から都留への最適解。
現代版富士道は「おれっち」に続く。

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2021.12.4

(画像)羽田空港着陸前の機内から:横浜方面を臨む

都留市訪問から、おおよそ1年が経った。
自分的には、断然、都留市イコール「おれっち」。
前回の訪問で、東京から都留市に入るルートの、最適解は頭の中に叩き込んである。

江戸時代。富士山を目指して江戸を出発する人々の多くは、甲州街道を大月まで歩き、桂川手前の追分から「富士道」に入り、谷村(都留市)を通って、上吉田(富士吉田市)の富士浅間社で安全祈願と一休み。そしてその後、登山道に入り山頂を目指したという。

今回は、レンタカーを借りて、東京(羽田)から中央自動車道を通り、大月経由で都留市に入る。
「まるで現代版の富士道(ふじみち)みたいだな。」
機内でそんなことを考えながら、外の景色を眺めていた。
さあ、もう少しで、羽田空港にランディングだ。

中央フリーウェイでは、右に見えるのが競馬場で、左がビール工場。
これはお約束だ。

そして、大月から都留市に向かう国道(富士みち)を走っていると、右に見えるのは「リニア見学センター」だったり、左に見えるのは「落合水路橋」だったりする。

ハッピードリンクショップ
「ハッピードリンクショップ」の看板(写真のものは、富士みち沿いではない:参考)

いつものハッピードリンクショップの看板を見かけると、俄然、都留市に「やってきた感」が増し、テンションも上がってくる。

ちなみに、ハッピードリンクショップには、通常の場合建屋はなく、自動販売機が数台並び、その前に数台、車が止められるようになっているだけだ。

ただの自販機コーナーじゃない。
なぜなら、自販機の飲み物は、「ハッピードリンク」だから。

看板を見て、ほんのりハッピーになったところで、車を横道に進め、ぎりぎり、12時前に、お目当ての「吉田うどん」のお店に滑り込むことができた。
駐車場の車は、意外と県外ナンバーばかり。
やはり、富士道フリークは、嗜好が似ているのだろうか。

山もとうどんの吉田のうどん
山もとうどんの吉田うどん(肉うどん)

ここで、肉うどんを美味しくいただき、その後、道の駅「つる」に立ち寄って、残り少なくなった「八朔巻寿司」も、運良くゲットすることができた。

そして、その後14時前に、市役所に到着した。
最適解の実証実験は、少し寄り道したけど、快適&ハッピーに成果を収めることができた。
というのが、現代版富士道についてのお話。

さて、ここからが、今回の本題で、「おれっち」に関わる件。

市役所入りしてから、いろんな職員さんと打ち合わせをして、夕方を迎えた。
午後6時半。
市役所3階の大会議室。
市長、教育長、総務部長以下各部長や市の幹部が勢揃いし、その他にも大勢の職員さんが、壁面のスクリーンを取り囲むように座っている。
総勢60名。

その中に、当然、「おれっち」もいる。

プレゼンテーションの様子
プレゼン会場の様子(市役所3階大会議室)

スクリーンには、発表者が4名、傍聴者や関係者、事務局を入れると、約20名のZoom画面が並んでいる。

これから始まるのは、大手商社社員と市役所職員が練り上げた、教育関連の新しいプロジェクトの企画提案のプレゼンテーションだ。

各メンバーが順番に自己紹介し、企画をまとめ上げた後の感想、そして、このプロジェクトにかける思いを語る。
プレゼンは、市役所職員と商社の社員が交互に進め、プロジェクトの目的や効果、目指す姿、収益モデルの内容を説明していく。

「おれっち」は、食い入るようにスクリーンを見つめ、そして時々、目の前の資料にメモをとる。その繰り返しだ。

一通り説明が終わり、発表メンバーに対して、都留市側は、市長や教育長、総務部長、大手商社側の傍聴していた社員からも、次々と質問が浴びせられる。
質問は、ビジネスモデルの細かな仕組みのことだったり、市内の子どもたちの現場の教育のことだったり、ターゲットの捉え方だったり、プランの持続性や将来的な展開についてだったり、様々だ。

どの質問にも、メンバーが競うように、そして適確に答えている。
「おれっちも、ところどころ、大きくうなずいている。」

印象的だったのは。
市内の未就学児に関わる質問の際に、商社のメンバーが、都留市の幼稚園の固有名詞を出して、答弁していたこと。

もう一つは、いろんな質問を受けた時の説明の冒頭に、「おたずねの件については、これまでの我々の議論の過程でも出てきた課題で、自分たちも十分検討し、それを踏まえた上での提案内容になっている」というフレーズが、何回か出てきたことだ。

私は、心の中でつぶやいていた。
「そうなんだよ。だってこの3ヶ月間。2週間に一度、最後は、1週間に1度、市職員と商社社員が就業時間後にZoomで集まり、だいたい2時間、遅いときは、夜の9時過ぎまで、議論してきたんだよ。時には、ちょっと煮詰まり、時には熱く語り、時には、議論が振り出しに戻っても、根気よく話し合いを続けてきたんだ。お互いの風土や文化の違う組織の者同士が、ましてや、商社の人たちは、都留市に誰も来たこともないのに、少しでも実のある提案にしよう、少しでもブラッシュアップしよう、何より、都留市の子どもたちの学びを良くしようと考えてきたんだ。」

質問が出つくし、閉会の前、予定していなかったのに、市長がマイクを取って言った。
「このプランは、何とか形にしたい。教育の現場や関係者など、いろんな意見や課題は出てくるかもしれないが、私が責任を持って進めていきたい。」

会場や画面越しの雰囲気が、少し和らいだような気がした。

そして最後の最後、商社の管理部門の方が、あいさつされた。
「こんな形で、商社の第一線の企業人と、市役所の職員の方々が、対等の立場で議論し、地域の課題の解決に取組む過程と成果を目の当たりにして、とても感動している。官と民の立場が違うもの同士でも、都会と地域、場所が離れていても、こんなにも信頼し合える関係、
気持ちの通じ合う関係がつくれたことに、正直驚いているし、これから先も、ずっとこうした取組や関係性を、続けていけたらいいと思う。」

最後は、会場の空気は、とても熱くなっていた。

司会者が閉会を宣言する際に言ったフレーズは、たぶんみんなの心に残っただろう。
「予定されていた時間を、1時間以上過ぎてしまいました。奇しくも、メンバーがいつも議論を重ねていた時間と、ちょうど同じ終了時間、8時半となりました。これで一区切りになりました。ありがとうございました」

会場がお開きになり、片付けが始まると、「おれっち」が、私のそばにやってきた。
開口一番、私に向かって言った。

「いやぁー。なんか俺。最後。目頭熱くなっちゃったよー」

その後、「おれっち」は、目頭が熱くなった理由について、熱く語り。

「じゃ。また、今後、近いうちに」
と言い残して、去っていった。

目頭が熱くなったって聞けたことが、今回の訪問の、最大の成果かもしれない。
でも、「今度」って、いつなのかな。

活まち役場 まちづくり係K