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「駒橋発電所落合水路橋×リニア実験線」を見ながら考える。

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2021.10.20

クロスポイント:その1 ~未来を想像する~

写真の向こうに見えるのは富士山。
山あいに広がっているのが、都留市の市街地だ。
その中を、ゆるやかにわん曲しながら貫いているのが中央自動道。
一番手前の真っ直ぐな高架橋は、山梨リニア実験線で、ちょうど右端のあたりに、山梨県立リニア見学センターがある。
リニアの歴史は結構古く、新幹線の次の高速鉄道としての研究がスタートしたのが1962年で、この実験線で走行試験がスタートしたのは1997年、その後実験線の延伸や新型車両による走行試験などが行われている。
また、この実験線は、東京と大阪を結ぶ、リニア中央新幹線の整備区間の一部としても、位置づけられているそうだ。
ある夏の日。
リニア実験線の高架下にある、道の駅「つる」の駐車場で、ちょうど上を通る実験線を見上げながら考えた。
近い将来、リニア中央新幹線が開通すると、東京と名古屋が約40分で結ばれ、毎日、多くの人を乗せた車両が、時速500㎞で行き来することになる。しかし、この都留市の区間は、トンネルとトンネルの間の、わずか1㎞ほどの距離しかないので、おそらく、乗車している人にしてみれば、「一瞬外が明るくなって、すぐ暗くなった」と感じる程度だろう。
例え一瞬でも、都留市を感じたり、知ってもらうための、しくみやきっかけができないだろうか。
少し先の将来を見据えて、東京など都会で暮らす人、働く人たちに、都留市の魅力をどう伝えていくかを、今から考えておく必要があるのではないか。

 

クロスポイントその2 ~今できること~

そのリニア実験線の真下を、中央自動車道が潜るように交差している。
そう言えば、何人かの市役所の職員の方が、これまで何度か、同じようなことを言っているのを思い出した。
「東京から富士山方面に車で行く人は、必ず、都留市を通っている。でも、通過するだけで、都留市のことはたぶん誰も知らない。」
「でも、一人でも多く、高速道路を降りて、このまちに立ち寄る人を増やしたい。」
そう言われてみると、東京(新宿)から都留市までは約90㎞しか離れてないので、車で直接来るとしたら、1時間ちょっとだ。
市の中心部にはインターチェンジもある、中央自動車道上には高速バスのバス停もある、東京を行き来するには、案外便利な場所かもしれない。
多くの職員の方は、都留市で生まれて、都留市で育ち、一度都会に出てから、また都留市に戻り、市役所の中で働いている。
「都留市に来る人を増やしたい」、「都留市の中にしごとを作りたい」、「都留市に移住して欲しい」、そんなことを思いながら、日々の仕事をこなしている。
都留市は、元々、富士山麓の城下町だ。
風のように通り過ぎていく人を、都留市にとどめるための取組、新しいビジネスを見つけ育てる取組、都市部等の高齢世帯が移住しても、安心して暮らせる住まいの提供など、他のまちとは違う、特徴的な取組を行っている。
たくさんの取組が、実を結んでいくことを、切に願っている。

 

クロスポイント:その3 ~昔に学ぶ~

道の駅つるから、場所を移動して、車で約3分。
地元の人から、通称で「眼鏡橋」と呼ばれている、橋のたもとにあるカフェにやって来た。
緑の中に、川のせせらぎがあり、橋が風景に溶け込んでいるようだ。
店内は、木の温もりがあり、落ち着いた雰囲気で、ロハスなメニューが並んでいる。

駒橋発電所落合水路橋
駒橋発電所落合水路橋

 

橋は煉瓦造りで、川を跨ぐ部分は3連アーチになっている。
何とも言えない趣があり、妙に親しみが湧いてくる。
昔どこかで見たような気がする、そんな心の中にあるような風景が、目の前に映し出されているようだ。
その場でネットで調べてみると、正式には、「駒橋発電所落合水路橋」というらしい。
目の前に流れる朝日川を超えて、桂川の水を発電所に引くための、6.8㎞の水路の一部分として1907年に建造された、煉瓦造のアーチ橋である。
橋の長さは56mで、水が流れる上部の水路部分の幅は約5.7m、深さは約3.7m。
1秒あたり、最大約25立方メートルの水を送る能力があるらしい。
完成から1世紀以上たっているが、今も現役で、隣の大月市にある駒橋発電所に、水を運んでいる。
この橋を造った当時は、日露戦争中であり、国が化石燃料に依存して、工業振興を図っている状況を、少しでも緩和するために、水力発電で得られた電力を、東京に供給することが目的の一つだったということも、記録に残されている。
人やモノなど、地方にある資源を東京に送り、それが国の発展の礎となっているというしくみは、今も昔も変わらないという現実には、しみじみと考えさせられるものがある。
目の前を流れる水は、当たり前だけど、高い所から低い所に流れていくが、この水路橋みたいに、他の川に合流するのでなく、自分の役割を持って、目的の場所までたどり着くような、そんな進み方もあるのかなと、妙な納得と、ちょっとした気付きをもらえて良かったと思っている。
都留市に来たら、たまに立ち寄ってみよう。
季節が違えば、見える風景も変わるかもしれないけど、流れる水は変わらない。

 

活まち新聞 記者R