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湯梨浜町から、幼かったころの「日本のハワイ」の思い出がよみがえる

たのしむ   やわらぐ  
2021.6.24

湯梨浜町。ゆりはまちょう。とても美しい名前だ、と思った。
この美しい名は、2004年に町統合で新しく誕生したものだと、最近知った。そして、このまちが、私自身、訪れたことのある、あの「日本のハワイ」でもあることを、私はつい先日知ったのだ。

私が小さかった頃、父は趣味としてのランニングを始めたばかりだった。何事にも熱中するタイプの父は、毎日まいにちランニングをし、そして週末になるとマラソン大会に参加するようになった。そこまでであれば、「健康的でいいね!」と、温かく見守れる範囲だと思うのだが、父の場合、その範囲を大きく超え、なんと私たち家族までをも巻き込んで、家族全員をマラソン大会に強制参加(!)させるようになっていったのだ。不運なことに、スポーツ全般、なかでも「走ること」が最も苦手な私にとっては、今振り返ってみても、それは本当にしんどい、まさに「苦行」そのものであった。

それでも父は、子どもの気持ちとは関係なく、持ち前のガッツとマイペースさを存分に発揮し、「なによりも参加することに意義がある!」と、とにかく私たちに「イヤ!」と言わせない勢いで、まだまだ幼かった妹も含めての大所帯で、いろんな町に遠征(?)していった。その一つが、「日本のハワイ」だった。

その日も、朝からマラソンに出かける休日だった。いやいや車に乗り込んだ私たちに向かって、父は「今日はハワイに行くぞ。ハワイだぞ!」と、発破をかけるように言った。

私は内心、(ハワイ??ハワイに行くのに何で車なんだ?お父さんの嘘つき!)とひねくれていた。
しかし、車を走らせること数時間、マラソン会場に到着する手前で、ハンドルを握っていた父は、
「ほら!ハワイだぞ!ハワイに着いたぞ!」
と嬉しそうに叫んだ。いぶかしげに窓の外をのぞくと、なんと「ハワイ」の文字の看板が目に見えたのだ。鳥取県東伯郡羽合町。漢字で「羽合」と書いて「はわい」。・・・・・・確かに。ありがたいことに、父は嘘つきではなかった。私たち家族一行は、数時間のドライブで日本のハワイにたどり着いたというわけだ。
(この羽合町が、2004年(平成16年)10月1日に、同郡の泊村、東郷町と合併して、美しい名の湯梨浜町となったわけである。)

さて、その後の、「マラソン大会の記憶」は私の頭の中から抜け落ちている。
ハワイの記憶が残っているのは、帰り道に寄った、「はわい温泉」だ。マラソンという苦行の汗を、温泉で洗い流して帰路に着いたことは、ぼんやりとだが、温泉の大きな建物とセットになって記憶に残っている。そして、帰り道の車中で(走るのはやっぱり好きじゃないけど、日本のハワイ、オモシロイ)などと、うっすら思ったことも覚えている。そういえば、その時の参加賞、なんだったっけ。

あれから日本のハワイへの再訪は果たせていない。しかし、今、名前を変えたまちとして間接的にではあるが「再会」ができ、この記事を書いている私がいる。だから、いつか機会があれば、日本のハワイ、また車で訪れたいと思っている。車で訪れる「ハワイ」なんて、何とも魅力的だ。

活まち書店・店員M