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驚異的関係人口につながる、生涯スポーツの誕生物語。(その1)

つくる   動かす   挑む  
2021.6.17

地方に出かけると、公園や河川敷で年配の大人たちが集まり、手にクラブを持って、ボールを打っている光景をよく見かける。

今日も、出張先のまちの河原で、高齢者の人たちが集まっているのを見つけた。
高齢者のスポーツ=ゲートボールって、勝手に思い込んでいたけれど、それぞれの人の動きを見ていると、ちょっとゲートボールとは違うような気がしてきた。
よくよく見てみると、持っているモノはゴルフのパターの特大サイズみたいだし、ボールも違うし、番号が書かれた旗も立ってる。動きもゲートボールとは全然違うみたいだ。
聞いてみると、「グラウンド・ゴルフ」って言うらしい。
なるほど、名前だけは聞いたことある。でも、そういえばパークゴルフっていう名前も、記憶のどこかにあって、どう違うのか、何だか気になってきた。

「グラウンド・ゴルフ」のことについて少し調べてみると、いろんなことがわかってきた。
発祥の地は、鳥取県泊村(現:湯梨浜町)で、村の人たちが、1982年(昭和57年)にゼロから考えてつくった生涯スポーツらしい。

プレーの方法は、各個人が専用のクラブを持ち、スタートマットを利用してゴルフのようにボールを打つ。旗の立ってるホールポストの輪の中にホールインするまでの、打数を数えるゲーム。場所に合わせて、距離やホールポストの位置や数も、自由に設定できる。ルールも初心者にも簡単で、子どもでも高齢者でも、誰でも手軽に楽しむことができる。ホールインワンを達成したら、プレー中の特典もあるらしい。などなど。

また、運動不足の解消(2ラウンドのプレーで、ウォーキング約1時間のエネルギー量)や、生活習慣病の予防、脳の衰えの防止などの効果もあるみたいだ。

結構奥が深そうなので、もっと詳しく、このグラウンド・ゴルフが創案された背景や経緯を、調べてみようと思った。

雨に煙る「潮風の丘とまり」
雨に煙る「潮風の丘とまり」

ここからは、「プロジェクトX」風で。

今からちょうど40年前の1981年(昭和56年)。
鳥取県東伯郡旧泊村(とまりそん)の人口は3,498人。高齢化率は22%。
この小さな漁村に、全国に先駆けて高齢化の波が押し寄せていた。
高齢化が進むこの村で、住民の健康づくりは最重要課題。
村長以下、村役場をあげ、「高齢者のための新しいスポーツを開発する事業」の採択に向けて、日々、国や県への働きかけに奔走していた。

当時の鳥取県内の市町村では、昭和60年に開かれる「わかとり国体」の、各競技の受入れや開催に向け、準備が活発化していた。
ところが、泊村は大きな体育施設がなかったことから、競技会場に選ばれず、国体を控えて盛り上がる他の市町村を横目に見ながら、いわば、「蚊帳の外」状態だった。

年度が変わった昭和57年4月。
前年からの、村を挙げた要望活動が実り、文部省(現在の文部科学省)の「高齢者スポーツ活動推進指定市町村設置事業」の指定が決まった。

国の財政支援(国庫補助金)を受け、新しい高齢者向けのスポーツ開発のプロジェクトを行う。このプロジェクトの担当は、村の教育委員会。
「村を元気にしたい」。
強い想いを胸に、職員たちの試行錯誤の日々が始まった。

※続きは、<次回コラム>へ。

活まち新聞 記者R

画像出典:鳥取県観光案内「とっとり旅の生情報」より(https://www.tottori-guide.jp/tourism/tour/view/142)