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集いの場「ジグザグ」と商店街を巡る、ちょっぴり通な豊前旅はいかが?

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2023.3.31

晴れやかな笑顔と、少しソワソワした空気が漂う中、豊前市は八屋にて開催された、「Zig-Zag(ジグザグ)」オープニングセレモニー。充実の設備と機能を備えたジグザグを訪れ、「ここで仕事したい……」という願望が止まらなかった筆者ですが、同じ思いを抱く人がきっと多いはず。

今回は、筆者の憧れるまちの新スポット「ジグザグ」と、そこから足を伸ばしてぜひ出逢ってほしい、素敵な場所や人たちといった、ちょっぴりディープな豊前市体験をご紹介します。

〈ワーケーションにも最適! 新スポットZig-Zagがオープン〉

ジグザグは、元印刷工場を改装してつくられた、2階建ての施設。充実した音響、照明設備を備えた音楽ホールを1階に配し、2階には、シェアオフィスと開放感あふれるコワーキングスペースが拡がります。

「廃屋同然だった建物が、こんなにきれいになったの!」 セレモニー会場では、驚きの言葉がちらほらと聞かれ、興味津々で見せて頂いたビフォアー写真には、つい大きく頷いてしまうほど、見事な再生を果たしたジグザグ。床の凸凹は、そのまま塗装して仕上げられているなど、工場の味も随所に活かされた、モダンでおしゃれな空間に仕上がっています。

工場を思わせる無骨な外観も、かえっておしゃれなジグザグ。

ジグザグの特徴を言い表すなら、それは「親近感」の一言。

音楽ホールは、盛大な音楽イベントをするにも良いけれど、歌や演奏、それにダンスなど、自慢の特技を披露するにもちょうど良い雰囲気。のど自慢大会だって良いかもしれない。自分でも何か企画できそう。それくらい、立派だけれど気負わない、気軽に使ってみたくなる魅力が感じられます。

コワーキングスペースにも、工夫が盛りだくさん。図書館ですら身構えてしまう筆者も、ここならリラックス&集中して仕事ができそう! とわくわくしてしまいます。疲れたら休憩できる、ふかふかで居心地の良いソファーや、ドリンクや軽食のサーブができるカウンターも完備。勉強やリモートワークにと活躍しそうです。

オープン前に見学させて頂いた、コワーキングスペース。写真右手にシェアオフィス、奥に宿泊エリアがある。シェアオフィスは、既に2社の利用が決まっているが、鋭意、追加募集を進めるとのこと。

そして、リモートワーカーに嬉しいポイントが、なんと宿泊も可能なところ! お風呂やシェアキッチンも、今後稼働できるよう準備が進められているとのこと。一人静かに滞在して仕事するもよし、リモートワーカー同士親睦を深めるもよし。何なら最後にホールでイベントまでやっちゃう?……と妄想の源泉がここに。皆さんなら、どう活用したいですか?
工場跡からまちの集いの拠点に。これからの展開が楽しみです。
(※ジグザグへお出かけをお考えの方は、下記〈施設・お店の情報〉をご確認ください)

〈粋なご主人と出逢える酒屋―豊前中央通り商店街「佐藤酒店」〉

さて、そんな新スポットジグザグと最寄の宇島駅(うのしまえき)とは、のんびり歩いても10分とかからないほどの距離感。その間に位置するのが「豊前中央通り商店街」です。時計屋さんや衣料品店、食事処などが軒を連ねる通りには、すずらんをイメージする、ぽってりとかわいい街灯が立ち並び、これぞ商店街! という目印になっています。

そんな、ちょっぴり懐かしい風情漂う商店街で、ぜひ立ち寄ってほしいのが「佐藤酒店」。こちらではなんと、由緒正しき「角打ち(かくうち)」体験ができるのですよ!

……と、角打ちとは何ぞや? という方にご説明。ピンポンパンポン(※アナウンス音)
角打ちとは、つまり立ち呑みのこと。居酒屋ではなく、酒屋が直に酒を提供する場であることが特徴で、このような形式は、江戸時代から存在したそう。大衆文化としての発祥の地は、北九州地方であるとも言われおり、豊前も言うなれば本場(?)。ぜひご堪能あれ!ピンポンパンポン(ご清聴ありがとうございました)。

佐藤酒店の角打ちスペースに掲げられた「角打ち心得の条」が、またユニークなのですが、中山安兵衛が高田馬場の決闘の助太刀へ向かう際、気合を入れるために行った歴史ある行為、とも紹介されており、少し背筋がピンとする思いです。ちなみに中山安兵衛は、赤穂事件で討ち入りした義士の一人、堀部安兵衛と同一人物です……と雑学はここまでに。

佐藤酒店の角打ちカウンター。馴染みのお客さんがご来店中。

「一般販売のない品も豊前で取り扱いたいと、蔵元を訪ねて直に契約をし、卸してもらえるようになった酒もあります。角打ちで試飲してもらって、良かったなと思ったら買ってもらう、そういうことがしたいと始めたんですよ」と、佐藤酒店三代目の佐藤元昭さん。東京で医療機器販売の仕事をしていたという佐藤さんは、結婚と同時に豊前へ帰郷。早速、以前倉庫だったスペースを改装して、角打ちカウンターを設置したといいます。

「今は、普通のものであれば何でもすぐに手に入る時代ですから。酒屋だからと酒の販売ばかりしていてもね」と佐藤さん。納得の一品を買ってもらうと同時に、地元住民が気軽に立ち寄り、話しのできる場になることも目指したいと続けます。「打ち合わせに使っても良いし、待ち合わせに使って、ここから呑みに出かけても良いし。とにかく人の流れを作る場として使ってもらえたら良いですね」

店内でお話を聞かせてくださる佐藤酒店三代目 佐藤元昭さん。冬には、豊前商工会議所の活動の一環として、宇島駅横電車が見える公園で、イルミネーションの制作を行ったりと、地域を活性化する活動も牽引する

まちの人口減少に伴い、空き店舗も多くなった商店街。それでも近年、風向きの変化も感じられています。働き盛りの若い世代が、ポツリポツリと帰郷し、商店街を盛り上げる動きが出始めています。往年の活気ある姿とまではいかないまでも、新たにオープンしたジグザグと商店街とを起点に、まちを元気にしたいと佐藤さんも意欲をにじませています。

「県外から人に来てもらうことも大事ですが、一気に呼び寄せようせようとしても難しいと思うんです。まず暮らしている人が、まちを活発に動いてもらうとか、中学生や高校生が戻ってきてくれるようなまちづくりをやっていかないといけない。豊前は特別なものは何もないけど、海も山もある、良いところやと思うんです」と佐藤さん。

そういえば通りには、下校する小学生の明るい笑顔がちらほら。佐藤酒店には、行き交う小学生や、地域のお年寄りがほっと一息つける場所として、店先にベンチを新設。お酒を呑む人も呑まない人も、懐広く迎え入れてくれます。夏には、ジュース片手に涼をとりながら語らう、そんなこともできたら良いなと思い描いているそう。

店頭にて、二代目と三代目のご主人たち。看板犬のらんまる君(真ん中)がちょこんと乗っているのが、誰でも休んだり井戸端会議ができるできたてほやほやのベンチ。商店街全域に、カラフルなベンチがあるのも良いな・・・・・・と次なる一手を模索している。

「アクションを起こすことは、良いことやと思うんですよね。まずはきっかけがないと。やってみて、どうかな? と思えば、修正していけば良いわけですから。やらんとね、分からんけですね」と笑顔を見せる佐藤さん。角打ちに伺った際は、ぜひゆっくりと語らい合いたい素敵なご主人です。

〈みんなが生き生き笑顔になる「ハレノヒ」を目指して〉

ジグザグは、市の施策の一つ「ひとりひとりが主役の豊前市『ハレノヒ』実現プロジェクト」の一環として、新たなスタートを切ることになりました。ハレノヒとは、「自分の居場所を持ち、活躍できる場や時間」のこと。まちに眠る地域資源を磨き上げ、多様な人にとって、魅力のあるまちづくりを目指すプロジェクトの象徴でもあります。

そしてもう一つ、ジグザグを拠点に展開されるのが、「おしごとパレット」。子育てや家事の合間など、少しだけ空いた時間に、ちょっとだけ働きたい人と、働いて欲しい人をつなぐしかけです。隙間時間や、小さな特技を活かして、まちの人びとが、地域の仕事の担い手になる新たなしくみがここから始まります。実は、オープニングセレモニーの会場準備を手伝ってくれたのも、おしごとパレットを介して来てくださったお母さん。「私にぴったりの仕事だった!」と満面の笑みで語る姿は、見ている方も幸せになる場面でした。

オープニングセレモニーと同時に開催された「おしごとパレット キックオフシンポジウム」の配布物をセットして下さったのも、おしごとパレットを通じてお仕事をお願いしたまちの女性たち。

 

ジグザグに、まちの小さな酒屋さん、ふるさとへ帰ってくる人の想いも、小さな灯として確かにここにある。そう想えるまち豊前。その灯のあたたかさを感じました。10年20年先へと、地域の人びとの笑顔がつながれていく。そんな姿をぜひ応援し、これからも追っていきたいと思います。

皆さんもほんの少し、ハレノヒの輪に加わってみるのはいかがですか?

 

活まちの旅する記者 Tao

 

〈施設・お店の情報〉

★Zig-Zag(ジグザグ)
所 在 地 〒828-0021 福岡県豊前市八屋2025−2
2023年4月1日(土)よりオープン
休 館 日:月曜日
開館時間:9時~19時
問い合わせ先:一般社団法人豊前市観光協会 0979-53-6660まで

※オープン後しばらくの間は、ご利用方法・ご予約など、上記お問い合わせ先にてご確認の上、お越しください。

★おしごとパレット
所 在 地 〒828-0021 福岡県豊前市八屋2025−2
窓口定休日:土・日・祝日
受付時間 :9時~17時
問い合わせ先:おしごとパレット 0979-64-7575まで

★佐藤酒店
所 在 地 〒828-0021 福岡県豊前市八屋1907−5
ホームページ https://satousaketen.jimdofree.com/

ひとりひとりが主役の豊前市キーパーソン 佐藤酒店さん【豊前市 ハレノヒ実現プロジェクト】
Youtube動画  https://www.youtube.com/watch?v=BqO8HdcBg1M