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伊達が持つ、土地の魅力とエネルギーに出会う、家庭料理本
 

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2021.6.17

伊達市に関連する書籍を探していて、偶然、素敵な本に出会った。
寛仁親王妃信子著「思い出の先にはいつも家庭料理」という一冊。
表紙カバーには「こころあたたまる福島の人々との交流、そして自然豊かな食材との出会いに、日本の四季折々の旬を愉しむ・・・花桃の一品料理とエッセイ」と記されている。

冒頭のまえがきには、体調を崩して入院した時、療養の一環として福島県伊達市を訪れたことが、著者と伊達市との交流の始まりだった、とある。また、そのまえがきの中には「(前略)信じがたいことですが、この地(伊達市)に到着したとたんに発作が治まり、・・・・(後略)。私は生かされているということも、良く理解できました」とあり、著者と伊達市の親和性、必然性のようなものを感じることができる。

この本は、伊達市の食材を中心にした料理の品のレシピと、料理に関するエッセイ、そして美味しそうな写真とで構成されている。料理が苦手な私でさえ、(これ、作ってみようかな)と心動かされるほどに、紹介されている料理はどれもとても魅力的なのだが、実はそれと同じくらい、いやそれ以上ともいえるほどに、エッセイがとても美しく、そして心動かされるものばかりなのだ。

特に印象深かったのが、「南瓜のスープ」のページのエッセイ。三世代一緒の家庭で料理を作る著者、皆が満足する味は難しいため、「これは祖母の味、これは母の味というように、相手によってひと手間かけることで、三世代に喜んでもらえるような工夫を」しながら料理を作っていたという。この一文からも、著者が持つ料理力の高さが判るし、こんな細やかな、相手を包み込むような心配りこそが、家庭を、そして社会を明るく育むのだ、と素直に感動を覚える。

もちろん、エッセイだけでなく、この本は「料理本」としての魅力もとても大きい。並ぶレシピは実にバリエーション豊かで、見ているだけでも楽しい。「四季の一品料理」というサブタイトルの通り、春夏秋冬、そして新年とに分けて、旬の食材を使った料理が展開している。「秋から冬へ」の章では、福島伊達の名産である、あんぽ柿のサラダもあるし、「夏」の章の野菜たっぷりのチャプチェも、これからの時期にはぜひ作ってみたくなる。ちなみに、今晩作ってみよう!と思ったのが、「ニラ玉のお椀」。知らなかったのだが、ニラも伊達の名産だそう。伊達市つながりで、こんな素敵な一冊に出会えたことに、ただただ感謝。豊かな地の恵み、大いに楽しみたい!

活まち書店・店員M