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地域の歴史と誇りを紡ぐ「伊達ニット」
 

つくる   ながめる   動かす  
2023.5.16

福島県伊達市の特産品で、多くの方がまず思い浮かぶのは、桃、ぶどう、りんご、イチゴといった農産物ではないだろうか。しかし経済センサスで、伊達市の産業ごとの売上高を調べると、実際には製造業の占める割合が高く、電気機械器具製造業を中心とした“ものづくり”が地域経済を支えていることが分かる。

産業分類別に見た売上高の構成比(2016年経済センサス)

伊達市の製造業で特徴的なものの1つにニット産業がある。

伊達市周辺は元々養蚕が盛んな地域で、その歴史は古く、平安時代までさかのぼる。平安初期より、伊達地方は“織物を織る郷”を表す「静戸郷(しずりべごう)」と呼ばれていた。この地で発展した養蚕・製糸業は、後の繊維・衣料産業の土台を築いていった。

戦後、化学繊維が普及したことで、絹織物からニットの産地へと転身を遂げ、伊達地方はニット産業において、全国でも有数の生産シェアを誇る地域となった。
その後、海外からの安価な輸入品が増加した影響もあり、その生産量は最盛期の1/10ほどに減ったものの、長年にわたって蓄積された高度な技術によって、現在でも高品質な製品作りが続けられている。

「伊達ニット」の強みとして、生地や柄の美しさが挙げられる。
その特徴は「バルキー糸」と呼ばれる太く、装飾性の高い糸を用いることで、デザイン性を高めている。また、市内の工場では、最新のコンピューター内装の編み機が使用され、ニッター(糸を編む人)も高度な技術力を身に着けているため、繊細で芸術的な製品の生産を行うことができるのである。

「ニット議会」の様子

そんな「伊達ニット」をPRするため、伊達市では面白い取組が行われている。
その名も「ニット議会」。
伊達市の12月定例議会では、市長をはじめ市の執行部職員や市議会議員が、全員お揃いの「伊達ニット」を着て議会に臨むのが恒例となっている。「ニット議会」は、地場産品の良さを発信しようと旧保原町時代から始まり、対象者は全員自費で購入しているそうだ。
行政や議会が、一丸となって「伊達ニット」を応援しようという気持ちが伝わる面白い取組である。

 

また、伊達市では公式YouTubeチャンネルで「伊達ニット」について紹介している。その動画に登場する福島県ニット工業組合 理事長の三品 清重郎さんは、「特徴のある素材や太い糸を使い、他にはないような製品を作ることはできるが、その価値を消費者の方々に伝えるための情報発信力が不足していた。そのあたりを今後は強化していきたい」と話をされていた。

また、株式会社阿部ニット 代表取締役社長の阿部 義己さんは、「今までのOEM主体の生産から、自分たちのブランドを作り、創意工夫で取り組んでいきたい。」と話をされていた。

「NIJIIRO Camp」Webサイト

現在、そんな「伊達ニット」のブランド力を高めるため、様々なチャレンジが行われている。その1つが職人技と若い感性のコラボで生まれたオリジナルブランド「NIJIIRO Camp」だ。
若手デザイナーと伊達ニット職人の技が融合し、多彩な色とデザインの製品が生み出されている。Webサイトを見ると、その美しさとデザイン性の高さから「伊達ニット」の価値が十分に伝わってくる内容となっている。

伊達市ふるさと納税サイト

また、Made In DATEのオリジナルニットは、伊達市のふるさと納税返礼品にもなっている。
外国で大量生産されたと思われるニットしか所有していない自分とっては、高嶺の花のような商品ではあるが、職人が1つ1つ丁寧に作り上げる上質な「伊達ニット」は、いつか手に入れたい逸品である。

地域の歴史と誇りを紡いできた「伊達ニット」
そこには、時代や流行に左右されない確かな価値が存在しているように感じる。

自分もいつか「伊達ニット」が似合うような、伊達な大人になってみたい。
そんなことを感じつつ、「NIJIIRO Camp」のWebショップで、ウィンドウショッピングを楽しむのであった。

 

活まち生花店 店員K

 

【参考】

◆伊達市ホームページ (https://www.city.fukushima-date.lg.jp/site/promotion/48832.html

◆伊達市ふるさと納税(https://www.rakuten.ne.jp/gold/f072133-date/

◆NIJIIRO Camp (http://nijiiro-camp.com/