旅行好きで、全国のいろんな場所に出かけて行くことが多いのだが、仕事柄、その地域の観光資源や特産品、食文化などが気になるので、そういったものに、手っ取り早く触れるには、道の駅はもってこいで、時間があれば、必ずそのエリアにある道の駅に、立ち寄るようにしている。
道の駅と一口に言っても、周辺の観光や道路案内、休憩スペース、トイレ、それに、少しばかりのお土産コーナーが併設されているような、ちょっと無機質な感じの場所もあれば、
海産物や農産物が所狭しと並べられ、観光客だけでなく、地元の人もたくさんいる、まるで市場のような場所もある。
それで言うと、ここの道の駅は、そんなに大きくないのに、休憩場所のようでもあり、土産物屋さんのようでもあり、地域の食堂のようでもある。
「休む」「交わる」「知る」「買う」「食べる」といった機能の、一つひとつが、訪れる人の気持ちをよく考え、親切に、丁寧に、細やかに、そしてオシャレに作り込まれている。
この道の駅を訪ねる人に、ぜひ見て欲しかったり、体験してもらいたいことが、3つある。
1つ目は、商品の陳列や、ポップの工夫だ。
お客さん目線で、わかりやすい表示がなされ、また、商品の陳列も、立体感があり、手に取りやすいように、よく丁寧に考えられているところだ。
それでいて、清潔感があり、“シュッ”としたオシャレな感じは、都会のセレクトショップのような雰囲気が、感じられるくらいだ。
2つ目は、トイレ。
中に入ると、たぶん、みんなきっと驚く。
写真はあえて掲載しないので、ぜひ、一度体験してほしい。
できれば、予備知識なしで。
3つ目は、レストラン。
名前は、「だて食庵」と言って、ここの道の駅の、大きな売りで、「山間と農村に浮かぶ“宿場ビストロ”」と、自ら名乗っているくらいの、グルメ押しだ。
伊達鶏やハーブ鶏、地元の食材を使った、和食や洋食、中華など、幅広いメニューが並び、
お昼は平日でも、いつもたくさんの人で賑わっている。
聞けば、ここの料理長さんは、東京の誰もが知ってるホテルや、有名なお店のシェフをやっていたそうで、地元の伊達市の保原町の出身らしい。
伊達鶏を使った「釜飯」や鉄板焼、ハーブ鶏の親子丼、石窯焼きピザなどが、人気のメニューと聞いている。
道の駅への訪問は、3回目だが、レストランで食事をするのは2回目だ。
前回は、だてハーブ鶏のデミシチューをいただいた。
まろやかで深みのあるソースの味と、鶏のおいしさは、頭の中に残っている。
話はそれるが、この道の駅の支配人の酒井さんは、人懐っこくて「熱い」。
サンマを1000匹タダでもらって来たり、新商品を開発したり、祭りを道の駅で復活させたり、東奔西走、大活躍だ。
(酒井さんのことは、今回書き切れないので、またの機会に、しっかりコラムに書きたい。)
今回の訪問は、この酒井さんとの面談が目的だったのだけれど、面談の前の、レストランでの食事のことを、どうしても書いておこうと思う。
12時過ぎにレストランに入り、券売機に表示されたメニューの中から、「唐揚げ定食」を選んだのは、特段、強い意思があった訳ではない。
興味があったメニューの「釜飯」は、ちょっと時間がかかるということだったし、麺類ではちょっと足りないかも、「親子丼」は昨日食べた。なので、このレストランで、食べたことのないメニューのうち、唐揚げ定食が、写真が貼ってあり目に付いたから、くらいのことだった。
席についてしばらく時間が経って、食券番号が呼ばれ、カウンターに取りに行き、席に持って帰って、撮ったのがこの写真。
ここまでは、この唐揚げ定食には、さほど期待はしていなかった。
というのも、この手のものは、大体味の想像がつくし、たまに、その予想が外れる時は、「皮ばっかりで脂っこい」とか、「見た目以上に硬くてパサパサする」とか、そういったケースが多いというのが、これまでの経験則だった。
しかし、今回は、見た目まず、「あれ、いろんな形してるな」「香りがいいな」「色がきれいでおいしそう」というのが、第一印象だった。
そして、一口二口、食べ始めると、なんとまあ、「鶏の部位の味が、それぞれに深みや食感が違う」「記憶に刻み込まれるくらい、独特の香ばしさがある」「噛むと弾力があり、パサパサ感がなく、とてもジューシー」「そのままでも、タルタルソースをたっぷりつけてもマジ旨い」ということで、メモした訳ではないのに、思い出すだけで、十分リアルに食レポできるくらい、印象的で衝撃的なおいしさだったのだ。
これまでの自分と言えば、簡単に、「おいしーい」とか、「最高」とか言わない方で、どちらかと言うと、何かしら、ちょっとした点が不満だったり、みんながみんな「おいしい」っていうものには、あら探ししたり、いずれにしても、手放しに「おいしい」と言うことは、絶対に言わない性格だ。
しかし。
今回は違う。
この「唐揚げ定食」は、全然違った。
固定観念は、打ち砕かれてしまった。
大きな声で言うのは、恥ずかしいので、小さく、つぶやきたい。
「参った。人生最高だ。」
「唐揚げ定食」に惹かれて、また、伊達市に行こうと思う。
活まち役場 まちづくり係K