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「まぶたに焼き付けられた素敵な笑顔」。駅長さんに思いを致す。

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2023.6.23

東北中央自動車道の霊山ICの側にある道の駅、伊達の郷「りょうぜん」。
これまで結構たくさんの、道の駅を訪ねているが、あんまり記憶に残っていないところが多いような気がする。

だいたいどこの道の駅に行っても、おおよそ造りは同じで、入り口を入ったところに、ご当地の土産物や特産品と、産直をうたった野菜や果物が並べられている。
あとは、レストランや、トイレ、地元のチラシが置かれた情報コーナー、これが、いわゆる、THE道の駅だ。

道の駅で買いたいもの、食べたいものって何だっけ?
ここからは、完全な趣味と、個人的な価値観の世界。

初めての道の駅で、いつも真っ先に向かうのは、冷蔵ケースのところ。
ここに行くと、そこの道の駅周辺で採れる(あるいは捕れる)肉や魚、加工した乳製品などの食品、飲料などが置かれているので、保存があまり効かない新鮮なもの、つまり、そこでしか買えないものの宝庫なので、食べたことのないもの、とても珍しいもの、商品裏のラベルを見て保存料が入っていないナチュラルなものなどを、ついつい衝動買い&大人買いしそうになる。

そこで必ず現れる、もう一人の自分。
(どうやって持って帰るの?いつまで食べられると思ってるの?)
冷徹な呼びかけにハッと我に返り、だいたいその場で飲める、無添加ヨーグルトとか、サイダー的な炭酸飲料とか、そういった類いのもの1本を残し、そっと陳列棚に戻す。
いつまでたっても学習しない、そんなことの繰り返しだ。

初めて、この道の駅に行った時も、このパターンは同じで、地元農家で採れたいちごを使った「いちごサイダー」のみをお買い上げして、道の駅の駐車場で飲み干した記憶がある。

あとでわかったことは、実は、このいちごサイダーが超人気商品で爆売れしてるってこと。そういえば甘酸っぱさが上品だったなあとか、香りがとてもクリアだったなあとか思い出し、改めて自分の選別眼を見直して悦に入ってみるものの、まとめ買いして送っておけば良かったなどと、未練がましく思っていたりする。

という訳で、道の駅訪問の記憶をたどれば、惜しかった、いや美味しかった「いちごサイダー」、レストランで食べたジューシーな「伊達鶏の唐揚げ定食」、珍しかった「イノシシ革のマスクホルダー」くらいしか思い出せない。

 

伊達の郷りょうぜんの美味しいものたち、「いちごサイダー」そして「伊達鶏の唐揚げ定食」。

 

と思っていたら、あった、あった。脳みそが覚えているというより、画像(ビジュアル)で記録されている、大事なものが一つあった。

それは、道の駅の駅長さんだ。
駅長さんの名前は「酒井さん」。
駅長さんの魅力は、人なつっこい笑顔。

 

駅長さんの笑顔は、まぶたに焼き付けられている。

駅長さんにお会いしたのは、道の駅に初めて行った時で、さっきの記憶がインプットされたのと同じタイミングだ。

取材というか、ヒアリングというか、意見交換というか、そんな機会をいただき、道の駅のバックヤードを通って案内された、2階の会議室みたいな場所で、いろんな話を聞かせてもらった。

そこで知ったのは、駅長さんは、伊達市がこの道の駅を造る時から、開設準備室長として関わっていたこと。
会津市の民間企業で働いていた時に、伊達市が道の駅の駅長候補の公募するということを知り、自ら手を挙げて採用され、生まれ故郷の伊達市に帰ってきたこと。
実家は、地元名産の、桃やブドウ、あんぽ柿などを作っている農家だったこと。

いろんなことを話してくれる駅長さんに興味が沸いて、さらに質問していくと、自分の想いや、やりたいことを、どんどん教えてくれた。

地元の「食」の魅力をみんなに知ってほしい。食べてほしい。
どうにかして、県外の人、都会の人に、ここに来てほしい。

ニコニコしながら駅長は語ってくれる。

夏休みに帰省してくる地元の人たちに、集まってもらい祭りをやりたい。
知り合いに頼んで、マグロの解体ショーを企画している。
サンマをたくさん焼いて、みんなに振る舞いたい。

 

そんな話を聞かせてくれたのは、かれこれ3年前のことになる。
駅長さんの人なつっこい笑顔を、今でも鮮明に思い出す。

道の駅、伊達の郷「りょうぜん」は、2018年3月の開業以来、5年が経過し、先日来場者が700万人を突破したらしい。

サイトを見てみたら、あのとき駅長さんが話していた、マグロの解体ショーも、サンマも、祭りも、どれも実現させているし、大盛況だったみたいだ。

北海道松前本まぐろ祭、秋祭りの様子 伊達の郷「りょうぜん」サイトより

 

そういえば、ひとつ思い出した。
あの時、駅長さんが企てていた、「霊山登山記念切符」(シリアルナンバー付き、限定販売)はどうなったのかな?
駅長さんは、この切符を売って、ここのファンを増やしたい、霊山に登って楽しくなってもらいたい、そんな想いを語っていた。

霊山(りょうぜん)は、道の駅の近くにある力強い岩山で、軽装でもハイキング気分で簡単に登れる観光スポットだ。

でも、登山記念切符の話をした時だけ、唯一、ちょっと不安そうで、ニコニコ顔が少し曇ってた。

「売れると思いますか?」
そんな感じのことを、聞かれたような記憶がある。
切符はどうなったのかな。

 

駅長さんに会いに行かなくちゃ。

人なつっこい笑顔を、もう一度、まぶたに焼き付けよう。
冬がやって来る前に。

2022年新緑バージョンの霊山登山記念切符(シリアルナンバー付き)。金色に輝く霊山をバックにした、オシャレな仕上がり。

 

活まち新聞 記者R

 

【参考サイト】

北海道松前本まぐろ祭、秋祭りの様子  伊達の郷「りょうぜん」サイト(http://michinoeki-datenosato-ryozen.jp/event