物事を考えたりするときには、最初に、ビジュアル(画像)が頭の中に浮かんでしまう。
それは、まだ始まっていないことや、行ったことのない場所を考えるときでも同じで、勝手に「空想カラー写真」が、頭の中でスライドされていく。
例えば、「子育てのまち」と聞いて最初に頭の中に浮かぶのは、「小さな子どもや子連れのお母さん同士が、公園の砂場で遊ぶ姿」だったり、「乳幼児検診で賑わう保健センターの様子」だったりする。
今回、その「空想カラー写真」と、リアルの世界との大きなズレを体験した。
「えっ。まじか。」
思わずつぶやいてしまうような光景に出くわしたのだ。
福島県伊達市での出来事。
「子育てこそ伊達」というコピーに象徴されるように、福島県伊達市は「子育てのまち」を前面に打ち出し、さまざまな子育て支援施策に取組んでいる。
らしい。ということは、何となく理解していたつもり。
今や、人口減少に悩む自治体の多くは、子育て支援を政策の柱に据え、大なり小なり、何らかの子育て支援施策に取組み、それを広くアピールすることで、まちのブランディングにつなげたり、移住を呼び込もうとしているのが現状だ。
なので。伊達市の子育て支援についても、さほど気に止めていなかったのが正直なところ。
しかし、ふとしたきっかけで、伊達市には、子どもの屋内遊び場が、市内に4カ所もあるということがわかった途端、一気に、「気になる。」度合いが上がってしまった。
この際、自分の目で確かめてみようと思い、伊達市を訪問することにした。
4月中旬。当日の気温は25度。快晴。
車で市内を走っていると、暖かい陽気に誘われるように、田んぼ、畑、歩道、農家の庭先、スーパーの駐車場、グランドゴルフ場、工事現場など、結構いろんなところに人が居て、活動したり、働いたりしている様子が目に入ってくる。
立ち寄った運動公園でも、芝生広場で遊んでいる親子の姿が微笑ましく、「子育てのまち」に着たという実感が、ますます湧いてきた。
そして、いよいよお目当ての、屋内こども遊び場「ファミリーパークだて」に到着した。
ちょうど体育館くらいの大きさの建物の中に入ると、フロアには、いろいろな種類の大型の遊具が、所狭しと並んでいる。3階建てのシンボルキャッスル、クライミング、滑り台、ランニングサーキット、などなど。
「えっ。まじか。」
想像していた「空想カラー写真」とイメージ、特に、規模が桁違いに大きいのだ。
また、飲食ができるママカフェや、小さな子どもが遊べるスペース、ロッカー、授乳室なども別に用意され、全体をNPOの方々が運営しておられ、受付や管理体制もしっかりされているようだ。
スタッフの方にお話を聞くと、「最近は、コロナ対策として、一回に50名の定員制で運営している」、「土曜日や日曜日には、お父さんが一緒に来られることが多い」、「知らない人同士でも結構交流が生まれている」などということを、丁寧に教えていただいた。
伊達市内には、ここの他にも3カ所、計4カ所の屋内子どもの遊び場があるそうだ。
ふと、時計を見ると15時55分。なんと、開館時間は、15時50分までらしい。
「そうか、それで、子どもたちは帰ってしまっていたのか。」
片付けを始めたスタッフの方々に、丁寧にお礼を言って施設を後にした。
こういった施設は、整備費や維持管理コストとか、たびたび議論されるものだが、一方で、利用率の悪い公共施設も問題にされるケースも多い。
これだけ利用され、活気がある場所は、なかなかないと思うので、やっぱりもっと他の場所を見たり、仕組みのことを詳しく知りたい。
ということで、「ちょっと気になる。」は、あちこちのまちを訪ね、まだまだ続く。
活まち役場 まちづくり係K