ロード中...
トップ画像

冬の味覚 伊達市発祥の「あんぽ柿」が一品料理に大変身!?

つくる   たのしむ   試す  
2023.11.23

 

通常の干し柿よりも、水分が多くジューシーで、見た目も鮮やかな「あんぽ柿」は、梁川町五十沢地区を発祥の地とする冬の味覚。干し柿大好きな筆者も、毎年店頭に並び始めるのを楽しみにしている一品です。

ふっくら大粒で色鮮やかなあんぽ柿

干し柿の楽しみ方は、ぎゅっと詰まった自然の甘さを、チビチビかじりながら食べること。頂き方と言えば、これ一択!の頭しかなかった筆者ですが、間もなくあんぽ柿シーズン到来という時期に、偶然見つけたレシピ本に度肝を抜かされました(大袈裟ではありません!)。
食材として調理する。筆者には、おやつをおかずに変える(ちょっと抵抗感)、はたまた酢豚にパイナップル(何で入れるの!?)と同じ感覚。うん、やっぱりそのままがいいかな……。でも美味しいからレシピになるのよね(これはいい話題になるかもしれぬ!)。

ということで、皆さまに代わって調理&実食を試みてみました!
あんぽ柿を使ったレシピは、サラダと白和えの2品です。

サラダの材料は、玉ねぎと、ビネガーソースの元になるリンゴ酢、サラダ油(筆者はサラダ油の代わりに、浅煎りごま油を使いました)、そして塩少々。玉ねぎを輪切りになるようスライサーにかけ、あんぽ柿をトッピングして、ソースをかければ完成。とってもシンプルです。あんぽ柿は、ヘタも使って、お皿の上に花が咲いたイメージで盛り付けるとのこと。うーん、ビネガーオイルかけちゃうのか……。でもなじみは良好。という訳で、完成! 一品目「あんぽ柿のサラダ」でございます。

あんぽ柿のサラダ

続きましては、白和えです。絹ごし豆腐を水切りして下ごしらえ。ごまペーストと味噌を合わせてすり鉢で練ります。味噌の塩味の加減を確認するため、お味見も欠かさず。ごまの風味の利いた素朴な味の餡ができました。これを縦切りにしたあんぽ柿とあえます。うーん、おかず風味とあえちゃうのか……。と言っている間に2品目完成! 「あんぽ柿の白和え」です。

あんぽ柿の白和え

 

という簡単さで、まさに3分間クッキング!
添えられたエッセイには、器にもこだわることが書かれていたので、仕上がりをイメージして、食器棚から選び出した器に盛り付け。東北の、それも寒い時期のあんぽ柿料理ですが、南の島沖縄の器を合わせてみました。いかがでしょうか!? じゃじゃーん。

本日のお献立の完成!

ということで、実食です。甘い物をおかずにするという感覚がない庶民舌なもので、こうした創作料理に手を出すには、ちょっと勢いも必要。おやつだ、甘味だ、という前提を一瞬頭の隅に追いやって、まずはサラダから。

……うん、あんぽ柿に酢と塩の酸味、それに玉ねぎのシャキシャキサラダ感が、めちゃ合うやん!(関西人)全体として全く違和感なし。というか旨い。特に、あんぽ柿が濃厚なので、多めの玉ねぎと一緒にソースをしっかり絡めて食べるのがいい。玉ねぎをもっと入れるんだったなーと、最初のイメージとは真逆の食べ方が旨いという発見。酢豚パイナップルが許せない人にも、これならいけると思います。

続きまして白和えでございます。これは何だか不思議な化学反応!
香ばしさが際立つ餡と絡むと、濃厚な甘味はこう変わるのか! という感激があります。甘さがとてもマイルドでやさしくなって、ごまの香りや味のクセも控えめになります。いい感じの中和反応!(理系)おかずというより、甘さ控えめの和のスイーツを食べているかんじです。簡単だし、体にもやさしいものばかり使っているから、デザートが欲しいときはやればいいやん!

結論。あんぽ柿はそのまま食べても美味しいが、ひと手間を惜しまなければ、さらに美味しく食べられる。あと、上のようにめちゃくちゃ簡単です。やってみてください! と、寝返り方が半端ないですが、本当にやってみた方に嘘つきになるといけないので、本音の感想で書いています。ご安心ください(?)。

と言うことで、シーズン本番前に、あんぽ柿でホットな時間を過ごすことができました。
あんぽ柿を探し歩く中で、八百屋のおじさんに伺ったお話では、伊達市のあんぽ柿は、11月末~12月と少し遅めに店頭に並ぶ予測とのこと。今頃は、乾燥中のあんぽ柿の鮮やかで暖かい橙色が、家々の軒先にぱっと火を灯すような光景を見せていることでしょう。

福島の昔話絵本に描かれる風景の真ん中にも、色鮮やかな柿の木が
出典:八百板 洋子 再話/斎藤 隆夫 絵「猫魔ヶ岳の妖怪 福島の伝説」(福音館書店)

それはきっと、まちの皆さんのふるさとの色、ちょっとうらやましくなる懐かしい光景。
梁川町五十沢地区(現在の伊達市)を発祥の地として、全国に製法が広がっていったあんぽ柿。冬本番には、本家本元の味をぜひご賞味ください。そして、ひと手間の工夫もお忘れなく。

追伸、暖房で室温の高い時期、あんぽ柿の保管場所にはご注意ください。暖気にあたるとゆるくなり、お料理しにくくなります。こちちらも実体験により、ご参考までに。

※お料理のレシピは、寛仁親王妃信子殿下の料理&エッセイ本『思い出の先にはいつも家庭料理』(マガジンハウス)を用いさせて頂きました。

 

活まちの旅する記者 Tao

 

〈だて市政だより 2022年12月号特集 百年の味(伊達のあんぽ柿)