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東川町に移住して感じた、厳しい冬の豊かさと楽しみ
 

まなぶ   たのしむ   すごす  
2023.4.17

私は、一昨年、2021年の春に雪の降らない暖かい町から東川町に移住しました。昨年の冬は、雪の降る季節を怯えるような気持ちで迎えました。雪道を滑らないで歩けるだろうかと、そんなことまで心配していたからです。そのため車の運転はほとんどしないまま冬を過ごしました。移住して初めての冬は、見たことのない美しい景色や感じたことのない空気の冷たさ、雪道を歩く感覚など体の五感を刺激する体験をしました。その体験はとても面白く、そのおかげで冬を心配していた気持ちはいつの間にかなくなっていました。

そして、移住して2年目の冬が近づいてきました。1年目と違うのは、車の運転をして旭川まで通勤することです。心配性の私は、雪道の運転が怖くて仕方ありませんでした。ご近所の方に雪道運転について聞くと、つるつるに凍った道を走る時に起こることや吹雪になった時の様子を教えてくださいます。そのお話を聞くたびに気持ちが重くなっていきました。そして、車での通勤ができるのだろうかとびくびくしながら寒くなっていく季節を過ごしていたのです。

雨に雪が混じるようになり、いよいよ雪道運転の通勤が始まりました。雪の降り始めは、昼間に雪が解けて、氷点下になる夜の気温で道路が凍ります。職場の方々も雪の降り始めと雪が解ける春は、道が凍結するため危ないのだと教えてくれました。雪道のことを聞くたびに気持ちが引き締まり、気を付けなくてはという気持ちが強くなっていきました。

12月から2月頃までは、積雪量が増えて、道幅がどんどん狭くなっていきます。そのため対向車に接触しそうになったり、除雪された雪山で横道から出てくる車が見えにくくなるなど走ってみて分かることがたくさんありました。そのため、雪のない道を走って通勤していた時には考えられないくらい様々なことに注意して運転しなければなりませんでした。

この冬は前の年よりも寒く、東川町もマイナス23度まで気温が下がりました。そのような寒さを体験しながらの慣れない雪道運転の通勤や除雪はとても大変でした。しかし、その大変さを吹き飛ばすほどの美しい景色を毎日、運転しながら見ることができたのです。朝の湿気と厳しい寒さにより見ることができる木々を彩る樹氷の美しさ、東川町から旭川市へ向かう道から見える雪化粧した山々、朝の太陽にあたってきらきらと輝く広々とした真っ白な畑、その畑に一列に綺麗に並んだ真っ白い木々など、どこを見ても美しい景色が広がっています。凍った雪道の運転は緊張の連続でしたが、それと同時に、毎日、そのような景色を楽しみに通勤することができました。通勤していなかった昨年は見ることができなかった美しい世界に感動する毎日でした。自宅や職場の駐車場も私にとっては美しい風景で、気温の低い朝もスマホを出して、朝日に輝く木々や美しい樹氷の写真を撮って楽しんでいました。

毎日、緊張しながらの通勤も3月に入ると徐々に雪が解けていきます。つるつるで歩くのも大変だった道がシャリシャリのシャーベット状になったり、昼間の温かい気温で解けた雪が夜には凍り、駐車場で滑って転んでしまったりといろいろなことを体験しました。日々、変わっていく道や歩道の様子を見るのもとても新鮮でした。3月も末になると道路の雪はなくなり、雪道運転の緊張感から解放されます。そして、春分を過ぎた頃、職場から東川町に帰る道から見える景色は素晴らしいものでした。大雪山の山々と旭岳の真っ白い山肌が夕陽でピンク色に染まっているのです。その姿は、美しいという言葉では言い表せないほどの景色です。ピンク色に染まっている大雪山と旭岳の神々しい姿は、何度もため息をついてしまうほどの美しさでした。

そして、この時期は、朝にも楽しみがあります。白鳥たちが真っ青で広々とした空を気持ちよさそうに飛んでいる姿を見ることができるのです。5羽の白鳥がVの字を描き、列をなして飛んでいる姿を見た時は、嬉しくて一瞬で気持ちが明るくなりました。

心配していた雪道の通勤は、緊張の連続でしたが、たくさんの楽しみも同時に見つけることができました。そして、今日も無事に家に着くことができたことに毎日、感謝していました。厳しい自然の中で暮らすことは、当たり前のことを心から感謝することができるきっかけを与えてくれるのだと実感することができました。移住2年目の冬も素晴らしい景色と冬にしか感じられない豊かさを日々の暮らしの中で感じることができました。

 

東川町民 自然に親しむF

 

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