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大切な家具とともに暮らす毎日はご機嫌である
 

すごす   たのしむ   やわらぐ  
2022.2.9

北海道の東川町は、数多くの魅力を持つまちであるが、木工のまちとしても有名だ。全国的なブランドともなっている、「旭川家具」の3割は東川町で生産されているそうで、日本の家具クオリティを支えている。
そんな東川町には、「クラフト街道」と呼ばれる道があり、東川の家具とクラフトを求めて、多くの方が訪れているそうだ。

私自身のことでいえば、「大切な家具と暮らす」って、できそうでなかなかできないことだ、とずっと考えてた。
・・・・・「考えていた」、そう、過去形だ。

私は、飽きやすく、大いに気まぐれな性分、良く言えば好奇心が旺盛なため、これまでも様々な場所を移り住んできた。だから、家具を購入するとき、まず優先させていたのが、「身軽さ」であった。
この先数年後には移動するかもしれない・・・・そういう可能性があると、そのときまでの、いわば「間に合わせ」の、価格も手頃な家具を見繕うことになる。そして実際、引越しが現実となったときは、簡単に手放せたりもするような・・・・はっきり言えば家具の使い捨てを繰り返していた。

そんな私が、間に合わせの家具選びをやめたのは、十年ほど前に、心奪われた家具を衝動買いしてしまったことがきっかけであった。

その家具は、小さな工房でつくられたもので、がらんとした工房の中、スポットライトを受けながら置かれていたテーブルと椅子とを見て、まさに一目で心が奪われてしまった。一瞬で、
(この家具との生活は、きっと日常が楽しく豊かになるだろうな・・)と思えたくらいだった。まさに、一目惚れ、である。
しかし、一目惚れといえども、かなり高価な買い物になるため、即決はできず、購入を決めるまでは何度も山あいの道を片道1時間ほどドライブしては、お目当ての家具に会いに行った。

その後、清水の舞台から飛び降りる思いで、その家具を購入したのだが・・・・結果は、まさに「大正解!」であった。
毎日朝陽が差し込むキッチンで、広めのテーブルを前にゆったりとした椅子に座り、珈琲をいただく至福の時間。こんな、何気ないけれども大切なものに触れながら過ごす一刻一刻が、幸福度に影響するのだろう。日常をより楽しく、そしてより豊かにしてくれる家具は本当に頼もしい。そんな、暮らしの、そして人生の味方になってくれる家具たちをよく選ぶことも放棄して、間に合わせで使い捨てしていたなんて・・・・・本当にもったいなかったものだ。

筆者のお気に入りの家具

大切な家具と暮らす。このパワーを知ってしまった現在の私。いつの日か、東川町のクラフト街道を訪れ、私の日常をさらに豊かにしてくれる家具と出会いたい、と夢見ているというわけである。

活まち出身の旅人W

【参考図書】
「東川町ものがたり」 写真文化首都「写真の町」東川町 編著