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“共奏のまち”のシンボル コンチェルトホール
~ふるさと納税すれば貸し切りに!?~

極める   試す   親しむ  
2022.11.2

奈井江町には、人口5,000人のまちにもかかわらず、音楽専用ホールであるコンチェルトホールがある。座席数246席と規模は大きくないものの、シューボックス型(直方体)(※注)のホール内部は天井が高く、内壁は音響効果を高めるため大きさの異なる木製ブロックで覆われており、美しい見た目だけでなく音響にこだわった作りであることが感じられる。
音響の良さは音楽専門家にも知られており、世界トップレベルのユースオーケストラと評される「PMFオーケストラ」の演奏会が開催されるほどである。

(※注)シューボックス型:Shoebox。間口が狭く、天井の高い長方形の形から「靴箱」。シンプルな構造で音響が良いとも言われる。コンサートホールの伝統的な形式。

 

奈井江町コンチェルトホールの内装

設置されているグランドピアノは「ベーゼンドルファー」。「スタインウェイ」「ベヒシュタイン」と並び世界三大ピアノのひとつである。コンチェルトホールに設置されているModel 225は低音側に通常の鍵盤には無い4つの黒鍵があり、幅広く多彩な音色が特徴である。

奈井江町のふるさと納税返礼品には、なんとコンチェルトホールを貸し切ってベーゼンドルファーを3時間試弾できるチケットがラインナップされている。田舎の新築住宅が買えるほどの値段がするベーゼンドルファーを、音響効果抜群のプレミアムホールで弾けるなんて、とても贅沢な一品ではないだろうか。

このふるさと納税の返礼品のアイデアは、都市部の大手企業の社員と奈井江町民との交流の中で生まれたものである。昨年の2021年から奈井江町では、日本を代表する電気機器メーカーの社員とオンラインを通じてまちづくりのアイデア等について話し合っており、その中で日本有数の音響効果のあるコンチェルトホールは、他の自治体には無い魅力であり、まちのPRの手段として、ふるさと納税の返礼品に採用すれば面白いんじゃないかというアイデアが生まれたのである。また、このアイデアは、ふるさと納税の増加策だけにとどまらず、コンチェルトホールの利用促進や、奈井江町の関係人口づくりやファンづくりにもつながる、すばらしい企画である。

通常、そのような町民や外部企業からのアイデアを行政が聞いても、実際には実現できない(聞いて終わり)というパターンが多いのだが、奈井江町では、その提案を実現するために職員が試行錯誤し、僅か半年ほどで施策に反映されたという点がすごいところである。まさに、“共奏のまち”らしい出来事である。

 

音楽専門家に愛されるコンチェルトホールだが、普段は町内の音楽サークルやカラオケ、学習発表会などにも利用されているそうだ。また、コンチェルトホールの中には会議室や社会福祉協議会の事務所があるなど、音楽ホールだけでなく、町民が集う場として多目的に使われている点も面白い。町民にとっては普段何気なく利用しているコンチェルトホールが、実は日本有数の音響効果のあるプレミアムホールであるなんて、実に贅沢である。

町民が気軽に集い、海外アーティストも利用するコンチェルトホールは、“共奏のまち奈井江町“を象徴する、まちのシンボルと言えよう。

 

活まち生花店 店員K