まず、日本一の説明をしよう。
奈井江町の真ん中を、南北に貫く道、それが国道12号線だ。
国道12号線は、札幌市中央区から始まり、石狩平野を北東に走り、北海道第2の都市、旭川市永山を終点とする、総延長156.8㎞の北海道の大動脈とも言える道路だ。
その道路のうち、美唄市光珠内町から、奈井江町の全域を通って、滝川市新町までの29.2㎞が、日本一の直線道路となっている。
この直線道路は、1886年(明治19年)に、今の三笠市から旭川市までの道路を造る工事を行った際に、「なるべく直線路にする」という命があったことに起因している。
実際に直線道路を走ってみると、所々に、緩やかなアップダウンがあることで、“ちょっとした楽しさ”が得られることは、意外な発見だ。
奈井江町南町にある横断歩道橋のそばに車を停めて、少し高いところから、「道路がどんなふうに見えるんだろうか」という気持ちを確かめるために、歩道橋に上がってみた。
道路は、基本的には片側2車線ずつ、合わせて4車線の道路で、北海道らしく車線の幅もゆったりと広めで、とても走りやすそうだ。
電柱と電線、街路樹、道路の白いライン、すべてが真ん中の一点に、吸い込まれるようにつながっている。
「夏もいいけど、冬の景色も、それはそれで風情があるかも」
「もっと高いところから眺めてみたら、直線道路の始まりと終わりは見えるのかな」
「車を通行止めにして、歩行者天国みたいにしたら面白そう」
いろんな妄想やアイデアが、頭の中に浮かんでくる。
今度は反対側を見てみよう。
当たり前だが、やっぱり真っ直ぐだ。
道路のずっと先のほうが、少し盛り上がって見える。
まるで空に向けた、ジャンプ台のようだ。
こちらの向きだと、この道の先には、奈井江町の中心部が左右に広がっている。
ガス屋、美容院、ラーメン屋、ガソリンスタンド、コンビニ、お寺など。
シャッターが閉まってしまっている店もあるけど、まだまだまちが生きている。
そして、そのちょっと先、ここから約1.5㎞ほどのところ、まちの中心部の端っこにあるのが、道の駅「ハウスヤルビ奈井江」だ。
この道の駅の名称は、奈井江町が友好都市提携を結んでいる、フィンランド共和国のハウスヤルビ町からとったものだ。
道の駅の館内には、地元の農産物などの直売所や、地元産の肉厚しいたけを使用した、しいたけフライが名物の喫茶店、また、同じく地元産の美味しいお米を炊いたご飯で握ったおにぎりが食べられる店、その他にも、ラーメンやソフトクリームなどが売られている。
この道の駅に、大型のトラックや乗用車が、いつも結構停まっているのは、魅力ある食べ物があり、また、ゆっくり休憩もできる、オアシスみたいな存在だからに違いない。
あとここは、なんと言っても、日本一長い直線道路の、ちょうど中間地点に位置していることが、大きなアピールポイントだ。
入口のところには、「直線道路日本一 29.2㎞ 中間点 奈井江」と書かれた、大きな看板が立っている。
看板の下は、記念写真のおすすめスポットかな。
道の駅の2階に上がってみたら、直線道路の写真が、一枚飾ってあった。
「もっと高いところから、直線道路を眺めてみたい」
「例えば、夕方とか、桜の季節とか、いろんな季節や時間の、直線道路を見てみたい」
日本一の直線道路は、まだまだいろんな楽しみ方があるようだ。
活まち新聞 記者R