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赤猪岩神社訪問記 ~神話の里にひっそりとたたずむ聖俗同坐の場~

やわらぐ   たのしむ   すごす  
2021.12.27

友人と二人、米子泊の翌日、米子から程近い南部町に車を走らせた。
二人とも南部町は未踏の地だ。
前日入手した観光マップを一緒に眺めて、「まずはここ行ってみよっか」ということになった。
国道9号線から南に折れて程なく里山が開け、赤い旗がいくつか見えて、それにすり寄って行くと山裾に赤猪岩神社が現れた。
神社に一番近い駐車場に車を停め、小ぢんまりとした神社の前に立つ。
小さいけれど何やら曰くありげな神社だね、と話ながら近づく。

鳥取県南部町の赤猪岩神社

縁起を記した看板があり、かの有名な大国主命が一度絶命してから蘇った場であるとのこと。
皆様ご存知の因幡の白兎の神話を経て、美しい姫に夫に選ばれたことから兄弟に嫉妬され、焼けた大岩を抱かされて絶命(酷すぎ!)、しかし母神を含む三人の女神の尽力で蘇ったという。
その大岩が境内に封印されているらしい。

神社の後ろに控える山を見上げ、その上から真っ赤に焼けた岩が転がり落ちる様子をイメージした刹那、神話の気配を感じた。
そして常々人生やり直したい!との思いを抱く私は再生を祈願すべく早速お参りへ。
二礼二拍手一拝し、階段を降りる。

と、下の広い駐車場に小さな建物とトイレらしきものが目に止まり、車を移動。
車を降りて近づくと、建物には女性が一人。
見るとここは売店というか、神社の社務所の一角というか???

鳥取県南部町の赤猪岩神社の売店

木製コップ、手刺繍(?)大国主命付き巾着、ガイドブック、葉書、米、煎餅、干し椎茸 、竹スルメ(!)、ジャム、ハチミツの横に御守り、お札、絵馬、御朱印等々、聖俗が一所に所狭しと並ぶ様子がまず印象的!
我々は興味津々で身を乗り出してジロジロ眺めたり手に取ったり。
「竹スルメ?竹?竹なんですか?これ!(そんなはずはない)」
ハチミツの瓶を指差して「なんで小さい瓶の方がお高いの?」
と馬鹿でちょっと失礼な質問に売店の女性は
「タケノコだったと思います。」
「大きい方が西洋蜜蜂が集めたもので、小さい方は数が少ない日本蜜蜂が集めたからハチミツも稀少で値段も高めになるんですよ。」
と始終にこやかに、真摯に対応してくださる。
「他にオススメスポットは?」
と質問すると、
「農産物の市場に隣接してとても美味しいジェラートのお店がありますよ。行き方はあの大きい道に出て…」
と売店から身を乗り出して行くべき方向を指し示し、どこそこを右に左にと『南部町虹色マップ』をゆびさしながら、一生懸命道案内をしてくださる。
車にはナビ、手にはスマホがある時代、このように親切な道案内を受けることはまず無いし、そもそも期待もしてない。
だからこそ、これはちょっと感動する出来事だった!
「ありがとう」がごく自然に口から溢れた。

そんなわけでこの売店はれっきとした観光案内所でもあることが判明した。
一粒で三度も四度も美味しい、みたいな場所だった。

さて、私の友人は列車の時間があったため山陰の旅はタイムオーバーとなり、後ろ髪を引かれつつ帰路に着いた。
次に来る時は、かの女性にもう一度案内を請うて、この売店から南部町探索に出掛けたいものだ。

活まち歯科 事務員T