桜の季節も過ぎた、5月の終わり。山梨県都留市の桜の名所とされる、勝山城跡に出かけてきた。
以前から乗車してみたかった富士急行線、谷村町(やむらまち)駅から歩いていける距離にあるとのことで、宿泊先の最寄り駅より富士急行に乗って勝山城跡を目指すことにした。
今回の散策スタート地点となる、谷村町駅の標高は483メートル、そして勝山城跡がある城山(しろやま)の頂上は571メートル。つまり標高差約88メートルのプチ登山である。
登山というにはわずかの標高差。
しかし反対に、まちの中心地がすでに480メートル超えの標高という事実に改めて驚く。こういった数値を見ると、かつて将軍家献上用のお茶を夏の暑さから守るための茶蔵を保有していたという、まちの特異性を思い出す。
そして、これから行く勝山城にはその茶蔵があったそうだ。
さて散策日の朝。この日は晴れ。レトロな駅舎で有名な、谷村町駅に到着。
駅を出て線路沿いに歩き、踏切を渡ったら今度は住宅地の間の道を山に向かうように進んでいく。狭めの道、すれ違う車は結構多い。行き交う車に気をつけながら坂をあがるように歩いていった先を曲がった途端、いきなり道は下り坂になって、その先には川と橋とが。
橋の下を流れるのは桂川。やはり、いつも水の存在を近くに感じるまち、都留である。
新緑の季節、勢いある緑が空を覆うように延びているし、その一方で川の流れも負けじと勢いがある。豊かだ。
橋を渡り切ると、今度は上り坂となっていて、次にどんな景色が広がるのか・・・・・なんとなくワクワクしてくる。
歩いている道のアップダウンで、山との距離が近いまちに居ることを実感する。
城山目指してぐんぐん進む。
だが、途中の分岐点で向かうべき方向が分らなくなり、私たちの先を歩いていらした地元のかたに道を尋ねる。
「勝山城跡?あぁ、あちらの道をまっすぐ行って突き当たりを右に行くと、その先にトイレがあるので。そこが駐車場になっていてすぐにわかりますよ~」
よく道を聞かれるのだろうか?快活に答えてくださる。あぁ有難い!
無事、勝山城跡入口に到着。目印だと教えていただいたトイレのお蔭で、すぐにわかった。
駐車場横の看板にはかつての勝山城の見取り図が描かれていた。
勝山城があった城山は、その三方をぐるりと囲むように桂川が流れている。先程、自分たちが渡ってきた川だ。
その川が、天然のお堀の役割を果たしていたということが、視覚的に理解できる。
散歩道入口に立つと、整備された道が続いているのが見える。歩道の始まりには「熊出没注意」の標識が。
え?熊が出没するのか・・・・?!
ちょっとドキリ、としたが、独りではないし、こんなにも春の陽気だし!と、頂上を目指して足を進めることに。
散策のスタート地点とした、谷村町駅から道を尋ねながらも、30分ほどで城山の頂上にたどり着くことができた。
私はのぼることに必死だったからかあまり細かい記憶がないのだが、唯一印象に残ったのがちょうど山の中腹あたり、小道が急に角度を変えて、歩くのが大変なポイントがあった。
あの道の造りって、城を守る知恵だったのだろうか。
城山の頂上、勝山城の本丸跡地には東照宮の祠があった。これは、昭和16年に今の場所に移されたようだ。
頂上は特に太陽を遮るものもなく、見晴らしが良い。これから夏に向かう季節、お天気が良い日は水分補給を忘れずに。
ちなみに約2年前の2021年、この勝山城跡への新たな道が整備されたことを、都留市観光協会のホームページ「勝山城川棚口登城道」にて知った。
この登城道も実に興味深い。
またここの地図には「推定茶壺蔵跡」と記された場所が見える。私は結局たどり着かなかったのだが、のぼってきた道とは反対側の場所にあったようである。
かつて江戸時代、100年以上行われていたという、御茶壺道中。都留市では、毎年10月に行われる「つる産業まつり」の時期に目にすることができる。
日程に合わせて都留訪問をすると、より一層このまちへの理解が進むだろう。その際には、是非とも勝山城跡への登山もお忘れなく。
活まち書店・店員M
【参考サイト】
つる産業まつり http://sangyou.tsuru-kankou.com/
都留市観光協会 勝山城跡
https://tsuru-kankou.com/katsuyama-castle-ruin/