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まちづくりに参加する大学生たち。文教都市・山梨県都留市にて。

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2022.10.12

山梨県都留市といえば、大学生のまちだ。

公立大学法人都留文科大学、健康科学大学看護学部、産業技術短期大学校都留キャンパスの3つの高等教育機関が所在し、人口約3万人うち、10分の1程度が大学生という、かなり特徴的な人口分布となっている。
地方では珍しく、若者がまちを歩いているのは日常風景だし、お店に入っても、大学生のアルバイトとおぼしき姿を非常によく見かける。

今回取り上げていきたいのは、3つの教育機関の中で最も規模の大きい都留文科大学。
山梨県立臨時教員養成所として発足し、市民からのボトムアップで大学となった経緯がある。全国から集まる学生が、市民の家に下宿していた時代も長く、都留市には学生を応援する文化が根付いているといわれている。

 

都留文科大学の様子

そんな都留文科大学の学生たちの一部は、まちづくりへの参加に積極的だ。
おそらく上記の経緯や、都留文科大学の学生たちの多くが教員を目指しており、社会貢献・公的な意識が高いこと、また地域で活躍できる人材育成を目指す「地域社会学科」の存在などが関係しているのだろう。

どのような「まちづくり」を実践しているかというと、例えば、施設運営が挙げられる。
2017年に開業した「ゲストハウスゆかり」は、大学生のみで運営している。人とのつながりを大切にしたい、という思いから、宿泊客の受け入れだけでなく、地域住民と共同で様々なイベントを開催している。

同じく2017年に開業した「café sowers(カフェ ソワーズ)」も、全員が大学生で運営。スイーツやカレーなどを楽しむことができる。こちらは、イベント出店や移動販売の実施のほか、農業にもチャレンジし、都留の魅力づくり・発信に貢献している。

 

café sowers

公共施設の運営にも学生が関わっている。
「ぷらっとはうす」は、谷村町駅舎を活用した地域拠点づくりプロジェクト。都留文科大学の地域社会学科のゼミで実施している。こどもたちの放課後の居場所づくりとして、学生が週2回常駐し、運営を行っている。現在も各種イベントを実施しているほか、今後は中学生の学習支援や子ども食堂など、さらに活動の幅を広げていく予定だという。

施設運営のほかにも、都留の学生たちは、「つる子どもまつり」への参加・運営や、「フィールド・ノート」の制作・発行、「つるっ子プロジェクト」の運営、ふるさと納税返礼品カタログの執筆、生涯活躍のまち・つる ビジネスプランコンテストへの参加、など、数え切れないほどのまちづくりに関わる活動を行っている。

これらの活動は、決して大人たちに言われてやらされているものではない。

例えばゲストハウスやカフェ運営に関わる学生は、主体的に「売上を上げること」「商品・サービスを開発すること」等を通して、経営側の視点を身につけることができた、と語っている。また、「つるっ子プロジェクト」は、都留市の子どもたちと交流したいという想いから、都留文科大学の学生が創立したという。

それぞれが、達成したい目標や目的があって活動を行っているのだ。

都留文科大学は、全国から学生が集まる大学だ。入学試験も全国で行っているので、大学に入学してから都留に初めて訪れた、という学生もいるという。
大学生たちは、意識的かそうでないかはわからないが、まちづくり活動を通して、自己実現をするとともに、都留というまちを知って、自らの居場所をつくる、そして良いものにしていこうとしているのかもしれない。

そして都留の大人たちは、そんな大学生たちを全力で応援している。
そんな姿を、私は何度も見てきた。
このようなまちは、日本中の地方都市を見渡してもなかなかないのではないだろうか。

文教都市・都留で躍動する学生たち、これからも目が離せない。

 

活まち新聞社 新人ライターS

 

<参考URL>

都留市ホームページ (https://www.city.tsuru.yamanashi.jp/soshiki/kikaku/seisaku_t/2_1/step1/9221.html

公立大学法人都留文科大学 地域連携(https://www.tsuru.ac.jp/site/tiikirennkei/