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現代の宿場町・都留市を実感した、朝の出会い。そして城下町散歩。

やわらぐ   たのしむ   すごす  
2023.10.30

 

私が都留市に対して持っている、まちのイメージとは。
「人が行き交う宿場町の歴史を抱いた、城下町」

これは、約一年前に読んだ、都留文科大学の「創立五十年記念誌」から受けた印象であった。
古くより、まちの中を富士道が通り、まちの中を人と物が行き交う歴史があり、それがまちの外から来る人たちに優しく寛大な風土をつくりあげていった。
そんな様子が、記念誌に書かれた歴史からありありと感じられたからだ。

 

そして実際に、都留のまちに滞在してみたところ、そんな「イメージそのまま」を体感することがあった。
都留の滞在先としていた「山梨泊まれる温泉 より道の湯」での出来事。

滞在二日目。
この日は朝から雨が降る中、少し早起きして朝風呂に入りに行った。

窓の外は雨。しかしせっかくだから・・・と外に出て露天風呂に浸かりにいく。流石に先客はいなくて複数あるお風呂のどれに入るか、贅沢に悩んでみる。
少し雨が強くなってきたが、どうせぬれるし・・・ということで、屋根が設置されていない吹きさらしの露天風呂に入る。

あーーー幸せ。なんて、幸福感にうっとりしていると、少しして一人の女性が入ってこられた。

「おはようございます」と挨拶をすると
「おはようございますー。」と笑顔で返してくださった。そして
「他のお風呂入ってみたんだけど、温度がまだ上がっていなくて」と、挨拶だけで終わらせず、会話を続けてくださる。

そうなると、こちらもぐんと話しやすくなるというもの。
その後、私の
「あいにくの雨ですね-」という、なんともひねりもない投げかけに、
「そうですね、雨ですね。でも草木からしたら恵みの雨ですよね」なんて粋な答えを返してくださる。

やはり、コミュニケーション能力の違いを感じてしまう・・・。
そこで、私も頑張って都留の魅力について触れてみる。

「そうですよね、都留は水が豊富ですよね。これも恵みの雨のお蔭ですね」と話を続けていると、ふと
「どちらからいらしたんですか?」と聞かれた。

この会話の展開、さては私が地元の人間ではないことが判明したか・・と、
ちょっと残念な気持ちになりつつ(旅行をしていると、地元のかたに思ってもらえることが嬉しかったりするのだ)

「○○県です」と、中国地方の県名で答える私の言葉に、その方は目を大きく見開かれた。

その反応に、(ああ、都留からはちょっと遠いですものね、、、)と、現在地からの距離を驚かれたのかと思った私。

しかし、その女性は笑顔で
「私も○○県出身ですよーー!」と返されたのだ。今度は私が大きく目を見開く番だった。
「ええええ!!○○県ですか???!!びっくりです!こんな偶然あるんですね!!」
私も大興奮してしまった。

「今は◆◆県に住んでいて、そこから来たんですが、そうですか?!○○県ですか!」と
すごく嬉しそうに答えてくださった。
私も驚きである。
47都道府県もある中で、同じ県出身の方と、この小さな露天風呂で出会えるだなんて。

 

その後、女性とは世間話をして
「どうぞ素敵なご旅行を!」とお互いに言って別れた。

 

「山梨泊まれる温泉 より道の湯」公式サイトより

宿場町の歴史を持つ都留では、昔もこんな会話がまちのあちこちで交わされていたのかもしれない。

どちらから?
信濃国からですか? 私もです!
みたいな。

言葉の感じはもちろん違うだろうが、そんなイメージが広がった。楽しい。
すごいな、都留市。
本でしか知らなかったまちの歴史を、身をもって体験させてもらえた。

 

お風呂で身体と心を温めてもらった「より道の湯」を後にして、城下町の趣きが随所に残る町並みを歩く。

まちの至る所に水路が。散策中、水の音がいつも聞こえるのは楽しい。
郡内三大祭りのひとつ、八朔祭(はっさくまつり)の中で行われる「大名行列」。その発祥之地の碑がふっと現われる、都留の散歩道。

まちがつくりあげてきた歴史の中を、漂うように情緒を感じながら歩く午後。
朝の素敵な出会いで抱いた「宿場町・都留」への期待は、決して裏切られることなく、非日常な空間を見せてもらった。

また、現代の宿場町・都留への旅を企画したくなるだろう。そのとき、今回のような出会いがこっそりと待っていてくれるかも、しれない。

 

活まち出身の旅人W

 

【参考サイト】

山梨泊まれる温泉 より道の湯  http://yorimichinoyu.jp/

ふるさと時代祭り**山梨県都留市** https://festival.tsuru-kankou.com/