ロード中...
トップ画像

「滝床料理」。
湯梨浜町に、ネーミングの天才がいるかもしれない。

つくる   たのしむ   親しむ  
2022.2.23

「滝床料理(たきどこりょうり)」。
これはおそらく、令和4年のいま現在では、「鳥取県湯梨浜町の『今滝』を眺めながら食事を楽しむ」という行為を指す、極めて限定的な状況を示す言葉だ。

「今滝」は、鳥取県湯梨浜町にある、高さ44メートルを誇る滝。豪快に水しぶきを上げる、荘厳な滝だ。岩壁に着生する植物やムクの木などは、植物学上、貴重なものとされているらしい。
滝の信仰は古くから行われ、竜王不動明王を祀る祠があり、駐車場から滝へと向かう入口には鳥居がある。今滝には、幽玄で厳かな雰囲気が漂っており、一部では「パワースポット」なんて紹介されているのも、納得だ。その様子は、ぜひ以下の動画を覗いてみてほしい。

そんな今滝で楽しむ「滝床料理」だが、美しい滝の姿と、水面と岩を打つ音を楽しみながら、渓流沿いにせり出した「床」で季節の料理を楽しむことができるというもの。

湯梨浜町の川床料理

6月下旬~10月末までツアーを催行しており、地元素材で作られた滝床御膳や滝床弁当などを堪能することができる(事前予約制。詳細と最新情報は、湯梨浜町観光協会<https://www.yurihama-kankou.jp/>にご確認・お問い合わせください)。
マイナスイオンをたっぷり感じられる滝と森林浴をお供に、湯梨浜町の特産「しじみ汁」に舌鼓・・・きっと会話も弾み、忘れられない思い出となるだろう。

そんな滝床料理についてネットで調べてみたところ、「湯梨浜町の今滝」以外で開催されている様子はない。
つまり、「滝床料理」という言葉は、オリジナルの造語なのだ。

「滝床」と聞いて最初に思い浮かぶのは、「川床」という言葉。川沿いに立地する飲食店の軒先から、河川側にせり出した桟敷席のことで、京都の貴船や鴨川のものが有名だ。

京都の川床

この川床を知っている人は、「滝床」という言葉を初めて聞いても、なんとなく意味が理解できるし、滝の前で食事を楽しむ情景も思い浮かぶ。滝の水しぶきや音、ひんやりとした空気も、感じることもできるかもしれない。

なにより、他に存在しない。

こんな素晴らしいオリジナルの言葉が、湯梨浜町にあるとは。
湯梨浜町には、ネーミングの天才がきっといるのだろう。

もしかしたら、地方には私たちの知らない、素晴らしい造語にあふれているかもしれない。明日もきっと、特別な言の葉を見つけよう。

 

活まち新聞社 新人ライターS

<参考・引用>
湯梨浜町観光協会<https://www.yurihama-kankou.jp/