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ため息が出るくらい美しいものにたくさん出逢えた一日。出雲山と、したてるひめのみこと、そして東郷湖。

やわらぐ   ながめる   すごす  
2023.11.27

 

鳥取県湯梨浜町に「出雲」がある。それを知ったのは、偶然道に迷ったから。

道の駅はわいを目指して車を走らせていた時、展望台、という標識が見えた。気になって寄り道してもらった。
駐車場が整備されていて、立ち寄りやすいスポット「出雲山展望台」。鳥取の地なのに「出雲」という名がつく山、出雲山にある展望台。


展望スペースに行くと、この地につけられた「出雲」の由来が書かれた看板があった。

その昔、出雲の大国主命(おおくにぬしのみこと)の娘である下照姫命(したてるひめのみこと)は、出雲から船でこの地にお着きになり、倭文(しとり)神社境内に定住。命は故郷をしのび、この高台に歩みを進めては遠く出雲を望まれたそうです。この姿を見た人々は、いつしか出雲山と呼ぶようになりました。現在は、展望台として整備されています。

(はわい温泉・東郷温泉ホームページより抜粋)

一ノ宮倭文(しとり)神社の御祭神の一柱、下照姫命に関わる言い伝えによるものだという。この、下照姫命が定住された地とされる倭文神社は、この出雲山から近い位置にある。

故郷が恋しくなるたび、この山を登り、湖の遠くに懐かしい地を見たのだろうか。
ここからの眺望は素晴しい。だが、素晴しいがゆえ下照姫命の故郷への想いは、なおさらに募ったのではないだろうか。

下照姫命という名前にある、「下照」は「輝くばかりに美しい」「辺り一面が輝くように美しくなる」という意味を持っているそうなのだが、もう一つ、「したてる」「仕立てる」という意味もある?という説を見つけた。

倭文神社は、昔から安産の神として崇敬されているが、主神は建葉槌命(たけはづちのみこと)だ。この命は織物の神とされている。これはこの地が昔、倭文(しづおり)の織物が盛んであったことが関係しているようだ。

下照姫命(仕立てるひめのみこと)、そして織物の神である建葉槌命。どちらの神様も織物と関わりが深い。もちろん諸説あるだろうが、織物で栄えたこの地にぴったりの神様だなぁ・・・!と、勝手に嬉しくなる。こういう想像や昔のことに思いを馳せるのは面白い。

かつて下照姫命がお住まいであったとされる地にある倭文神社。清々しい。

八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を
やくもたつ いずもやえがき つまごみに やえがきつくる そのやえがきを

日本最初の和歌と言い伝えられている歌。

これを、出雲の名がつくこの場所で、つい思い出してしまうほどの、美しい雲たちを見た。
なんとも出来過ぎではないか。やはり嬉しくなった私である。

出雲山展望台から見上げた空。あまりに美しくて連写してしまった。

美しい眺望を堪能した後は、山を一気に下り、今度は東郷湖の姿を間近で見ることができるスポットへ。
湯梨浜町を訪れるたびに、立ち寄ってしまうお店のひとつが手作りパンが楽しめる、「ぱにーに」だ。

種類豊富なパンたちが並ぶ、「ぱにーに」。
「ぱにーに」のテラスから、間近に見える東郷湖。穏やかで美しい!

色々とまちを巡り休憩したくなった午後、出かけたのがずっと行ってみたかった、カフェHAKUSEN(はくせん)。
やっとやっと訪れることができて感激である。

店内に入り、大きな窓の近くの席に座る。窓の外を眺めるとすぐ横に水面が覗けて、まるで湖の上にいるかのような感覚になる。

鳥たちの湖面を滑るように飛びゆく姿を見送り、湖に映る光の変化をぼんやりと眺めて過ごす時間。
あまりに贅沢で幸せなひとときだ。こんな環境がすぐ近くにある、まちの人が本気でうらやましい。

大好きなチーズケーキとアイスコーヒーをいただきながら、東郷湖で遊ぶ鳥たちを眺める。

日も暮れかかり、名残惜しいが帰路に就く時間が迫ってきた。
本日のプチトリップの締めくくり、東郷湖畔を少し歩く。湯梨浜町の冊子で見たことがあった「四ツ手網(よつてあみ)」と東郷湖の姿を間近で見たかったのだ。

大きな空にひろがる雲と光の帯。
湖の向こうの山々そして温泉街の町並みが、静かな水面に映る。一日の締めくくりとして完璧だ。
ひとつのまちで、こんなにもボリュームがあって満足感がいっぱいの時間を過ごせるなんて。

短い滞在時間の中で、あまりにも感傷的になるほどの美しい景色に次々出逢ったプチトリップ。
次も、ため息が出るくらい美しい風景に逢いたくなったら、湯梨浜町を訪れることにしよう。

夕暮れ間近の東郷湖ほとり。本当に絵になるまちだ。

 

活まち出身の旅人W

 

【参考URL】

出雲山展望台(はわい温泉・東郷温泉ホームページより) https://www.hawai-togo.jp/html/guide01_08.html

一ノ宮倭文神社 https://www.sitorijinja.com/

HAKUSEN(ハクセン)Instagram  https://www.instagram.com/hakusen_matsuzaki/