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いよいよ求菩提山へ~遺構をめぐるトレッキング体験・森林セラピーを満喫した一日【後編】

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2022.9.21

前回のコラムでは、ひそかに憧れを持っていた求菩提山でのトレッキング体験の前半を綴ったが、
今回はその後半を。そして、トレッキング後豊前を去るまでのエピソードもご一緒に。

 

<鬼の石段>

トレッキング前半部分のヤマ場と思われる、鬼の石段。

鬼の石段

求菩提山に関する資料を読むと、必ず紹介されていたこの石段。
鬼の石段に入る前、中宮(国玉神社・鬼神社)の広場にてガイドのかたの味ある口上を聞く。

渋い声が高らかに求菩提の山に響いてく。木霊(こだま)のように。
豊前のひとは、こういう昔ばなしの世界と共存しているのか。いや。でも本当は、この昔ばなしの世界の中にこそ、私たちは存在しているのかも。とかなんとか思いを巡らしたりしていた。

鬼の石段の云われを聞いた後だと、850段もの階段を上るのがより一層興味深いものに感じられる。長く言い伝えられてきた昔話の中に自分を重ねられる面白さ。大げさでも何でもなくて、本当に楽しくてひょいひょい登れたものだから、まったくもって不思議だった。

鬼の石段のアップ画像
<鬼がこれを積み上げたのか・・・と思いながら登る石段>

 

<上宮でのランチタイム>

鬼の石段を登り切ったら上宮(国玉神社上宮)に到着。
ツアー前半、無事終了!
達成感も手伝ってか、なんともいえない清々しさ。参加者の皆さんも、一様に嬉しそうな表情。

ここでガイドのかたの掛け声でランチタイムとなった。

参加者の皆さん、それぞれに腰を下ろす場所を見つけ思い思いに休憩することに。
私も広場の片隅のちょうどいい岩に腰掛けて荷物を下ろし、
おもむろにリュックの底にしまい大切に持ち運んできたお弁当を取り出す。

中身なにかなぁ・・・?ワクワクするなぁ。

トレッキング後のお弁当

キレイなお品書きを見ながらワクワクな期待感とともに蓋を開けると、さらに嬉しくなった。

旬の野菜やお魚などなど、豊前の郷の美味しいものがギュギュッと詰め込まれていて、
見た目でも楽しませてくれる美しさ。そして丁寧さ。

お弁当

 

なんといっても、憧れていた求菩提山の空気の中でいただくお弁当。感慨深さも手伝ってか本当にどれも美味しかった!なかでもおにぎり。お米の美味しさが印象的だった。

そして食後にはコーヒーと豊前地元の焼き菓子までふるまっていただいた。なんだかフルコースを食した後のような満足感。
御馳走様でした。

一時間ほどの休憩の後、トレッキングもいよいよ後半へ。

 

<様々な表情を展開する山・求菩提山>

求菩提山の山頂に位置する上宮からの道は、はじめ下り坂となっており、しかも足元にはたくさんの落ち葉が敷き詰められていてふっかふか。前半の道とはまったく異なった趣き。
同じ山なのに、いろんな表情を見せてくれる。サービス満点の山だな、なんて思っていたら勝手にニヤけてしまった。

 

求菩提山の地面
<クッションのようにふっかふか!の地面>

 

足元は柔らかだが、その横を走る山肌はゴツゴツとした岩が多く見られ、雄々しい風貌。岸壁するどく、空を刺す。そんな感じ。
さすが、修行の山。とか勝手に思いながらも、皆さんに遅れないよう、ひたすら歩く。

ゴツゴツした岩肌

 

結界石や胎蔵界護摩場跡を見てさらに進むと、五窟と呼ばれる大日窟、普賢窟と、見どころが続く。

 

大日窟
<第一窟・大日窟。天井の岩が凄くて驚く>

余談となるが。
憧れていた求菩提山を歩けていることに興奮してか、トレッキング中ずっと写真や動画を撮りまくっていた。
すると、なんと途中からカメラのバッテリーが切れてしまい、トレッキング行程すべてを撮ることができなかったという・・・。だから、ここからは画像がなくなってしまうのだが。
それほどに楽しくて興味深くて濃密な時間であった。というか、足元見たり、岩肌に驚いたり、写真を撮ったり・・と、かなり忙しかったかも!

 

<解散後。豊前を離れるまでのこと>

予定より少し早い時間に下山、朝の集合場所の駐車場に戻ってきた。ガイドのかたからのご挨拶をいただいて、一同解散となる。
念願の求菩提山に登ってきた達成感とともに、この楽しい時間が終わりを迎えてしまう、ということへのちょっとした寂しさも心に宿った瞬間だった。
それほどに充実した一日だった。大満足。

さて。
帰路のJR宇島駅行きのコミュニティバスの時刻までは一時間ほどある。せっかくなので、もう少し求菩提のことに触れる体験がしたい。
そこで私の中での選択はふたつ。
「求菩提資料館」と「求菩提温泉」

求菩提資料館は、求菩提山にあった貴重なものが展示されている資料館。
そして、求菩提温泉は入浴券をいただいていたこともあるので、このトレッキングの汗を流せて気持ちよさそう。
場所はといえば。
資料館の方は、解散場所の駐車場から少し上ったところにある。所要時間2分ほどか。対する求菩提温泉は山を下ったところ。どちらを取るか。悩む。

結論。欲張りの私、どちらも取る!ということで、まずは急ぎ足で求菩提山資料館へ。

私が最初に求菩提山の存在を知り、勉強するために読んだ「天狗たちの森」、「修験道文化考」の著者である恒遠俊輔氏は、この求菩提山資料館の館長を務められた経歴の持ち主。
だから、求菩提山資料館にも勝手に親しみを覚えていたので、訪れることができて感激であった。

こんなふうに、最初は紙上で得た知識を「実際のもの」として認識する過程ってすごく面白い。だから旅行、好きなんだ。
観光って、光を観る、というけれど、そのものに触れるって、こういうことなんだとしみじみ思う。

資料館で求菩提山の歴史と文化に駆け足で触れた後は、求菩提温泉。
いや忙しい。

求菩提山資料館から温泉の場所までは、約2.2km。
歩いて15分かかるかな?温泉に浸かれるのは、10分か?・・・・なんて、頭の中で計算しながらひたすら山を駆け下りていく。

駆け足で山を下りて5分くらいの時。
そんな小走りの私の横を、通り過ぎた車が少し先で止まった。

ん?と思ってそちらの方を見ると、先程大変お世話になったガイドの女性だった!

そのかた、笑顔で車の窓を開け
「下までお送りしますよ-」と、声を掛けてくださる。

あぁ、なんて親切な・・・と思いながら、
「ありがとうございます!せっかくだから、温泉に入って来ようと思っていまして」と答える私。

すると、
「じゃあ、温泉までお送りしますよー乗ってください」と。

!!!
どこまでも温かくて優しい・・・そしてどこまでも笑顔。じんと来る。

有難いなぁ・・・・。
旅の思い出って、こんな人とのやり取りが心に残るのだな。と、また心の中でつぶやく自分。
困ったな。いい思い出しかないな。豊前、きっとまた訪れるだろう。

またまた余談なのだが、豊前からの帰宅後ネット等で調べたところ求菩提資料館から求菩提温泉までは、歩いたら30分はかかる距離であった!
だからガイドのかたのご親切がなければ不可能だった、温泉体験。ありがたく楽しませていただいた。

求菩提山でのトレッキング体験から、温泉までも堪能させてもらえた一日。
本当に濃厚濃密な求菩提時間だった。

帰りのコミュニティバスの時間にも間に合い、無事JR宇島駅までたどり着くことができた。

JR宇島駅
<JR宇島駅。カメラのバッテリーがまだある朝に撮った1枚>

朝、この駅に着いた時は、どんな一日になるかのワクワクした期待感もあったが、実はそれ以上に一人で参加することでの緊張感もいっぱいだった。
だから朝の自分に言ってあげたい。
(大丈夫!予想をはるかに上回るような、楽しい一日が待っているから。緊張しすぎることなく存分に楽しんでおいで!)って。

 

私が体験した、この森林セラピー体験は春と秋に定期開催されている。そして9月から「2022年秋のセラピー体験」がスタートする。開催時期は2022年9月から12月にかけての3ヶ月。
この森林セラピー体験はリピーターのかたも多く、今回の参加者の中にも10回以上参加されているというかたがいらした。
その気持ち、参加してみたらわかってしまう。きっとまたあの場所に戻りたくなるし、またあの清々しい体験をしたくなる。

私が体験した、「求菩提山の遺構をめぐるトレッキング体験」は2022年11月13日に開催とのこと。
興味がある方は是非!

 

活まち出身の旅人W

 

豊前市観光協会
http://www.buzen-kk.jp/osusume_therapy.html

求菩提資料館
http://kubote-historical-museum.com/

求菩提温泉
https://bokusennosato.com/hotspring.html