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伊達市の保原総合公園で、日本の建築の歴史に触れるきっかけをもらう
ー旧亀岡家住宅の存在感ー

すごす   ながめる   まなぶ  
2023.12.30

 

「こんな公園が、自分の住まいの近くにあったら最高だな」

そんなことを思ったのは、福島県伊達市滞在2日目のこと。
この日訪れたのは、保原(ほばら)総合公園。地図で確認すると、敷地面積は広大。
広い園内に、たくさんの遊具、幼児向け広場、そして文化財の旧亀岡家住宅等々、盛りだくさんの設備が揃っているのだ。

ここを訪れた、一番の目的は「旧亀岡家住宅」である。
この建物については、活まちコラムの「妄想で旅をしてみよう!~福島県伊達市編・その4」で知り、いつかこの目で見てみたい!と思っていたのだった。

 

強く風が吹き抜ける中、気持ち良く整えられた、広い広い公園を歩いてゆく。

黄色のベンチが可愛い。隅々まで整備された、心地よい空間がひろがる。

まるでお城のような形状の登り場を持つ、ロングローラースライダー。
なんと全長70メートルもの、名前に偽りない、ロングスライダーは、つい大人も挑戦してみたくなるほどの存在感だ。

画像提供:伊達市シティプロモーション「いーない!だて」より
緑のトンネルを抜けるようにして滑ることができるロングスライダー。

広い敷地内には他にも、ロングスライダーに挑戦するにはちょっと早い小さな子ども向けの可愛い広場があったりする。
その名も「くだものひろば」。果物で有名な伊達市らしいネーミングだ、とほっこりする。

「くだものひろば」の入口。伊達市の特産であるフルーツたちが、看板に踊っている?!

さて、この総合公園の大きな目玉的存在。私自身が訪問目的にしていた、国指定重要文化財「旧亀岡家住宅」である。
いざ実際にその建物の前に立つと、その存在感の大きさに素直に感動を覚える。

この建物、中に入って見学することもできる(隣接する「伊達市保原歴史文化資料館」への常設展観覧料に、旧亀岡家住宅の観覧料金が含まれている)。
とてもとても興味があったのだが、実は次の予定があり(このことはまた別の機会に書きたいと思っている)このときは、外からの見学にとどめたのだった。

建物の正面から右にまわりこむと、脇に立つ新しい看板には、「明治の木造擬洋風建築」とある。

擬洋風建築、とは?そのときは(擬洋風・・・?ふぅぅぅん)と思ったくらいだったが、改めて気になったので、「擬洋風建築」について調べてみた。

擬洋風建築とは、幕末から明治時代初期の日本において、主として近世以来の技術を身につけた大工棟梁によって設計施工された建築である。従来の木造日本建築に西洋建築の特徴的意匠や、時には中国風の要素を混合し、庶民に文明開化の息吹を伝えようと各地に建設された。ウィキペディアより抜粋

明治維新後、西洋の文化が日本に入ってきた中での西洋建築。この、日本古来の木造建築とは大きく異なる様式を、当時の日本各地の棟梁や職人たちは見よう見まね、想像力も駆使しながら独自の建築様式に変えていった、そんな歴史があったのだ。

調べるまではまったく知らなかったのだが、その歴史、実は面白かったのだ。
明治時代に生まれたその建築様式だが、それら一群の建築物が「擬洋風」と呼ばれるようになったのは、実はそんなに前のことではないようだ。

擬洋風の「擬」は、「なぞらえること、似せること」といった意味があるが、西洋建築を似せて造ったこれらの建物を
昭和の時代、一部の建築史研究者が「擬洋風建築」と呼ぶようになり、定着していったのだとか。そこには、それら建築様式自体があまり評価されていなかった時代背景も見え隠れする。

 

その後時を重ね、評価の浮き沈みを経て、単なる「見よう見まね」では納まらない「独創性」こそが、評価されるようになった「擬洋風建築」。
現在、「擬洋風建築」と呼ばれる建築物の多くは、当時の時代を今に伝える貴重な存在として、文化財として指定され大切に保存されているそうだ。

個人的には、擬洋風、というよりも和洋折衷、という言葉の方がしっくりくる。
新しいことを取り入れることをいとわず、積極的に良い方向に取り入れてきた、日本風土の特長の表れだ、そう思えてくる。

 

公園の中央に凜としてたたずむ旧亀岡家住宅。想像していた以上に格好良く、美しい建物だと思う。
伊達を訪れる際には、是非ともこの建築物に会いに行くこと、お勧めしたい。

 

活まち出身の旅人W

 

保原総合公園
https://www.city.fukushima-date.lg.jp/soshiki/23/899.html

旧亀岡家住宅
https://www.city.fukushima-date.lg.jp/site/datehistory/4493.html