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次こそは富士急行に乗ってみたい!の思いを強くした、都留の旅

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2022.12.7

東京からもほど近い距離にある、山梨県都留市。

その都留市を訪れるチャンスがやってきて、旅の日程を組む。
東京からのアクセスは思った以上に良い。新宿を起点としてJR中央線を西へ。途中JR高尾駅にて乗り換えをし、1時間半ほどで山梨県大月市のJR大月駅に到着。
駅前は風情ある温泉街のようなたたずまい。整えられたきれいさが印象的だった。
今回の旅は、運転が得意な同僚と一緒なのでここからレンタカーにて都留市へ向かうことに。

実は、旅のプランを立てはじめたとき、富士急行線にて都留に向かうことも選択肢の中にあった。
富士急行線とは「富士山に一番近い鉄道」との枕詞がつく、まさに富士山に向かって走る鉄道。

そもそも乗り物好きの私、少々不便でも公共交通機関で旅をしたいタイプ。しかし、今回は同僚と一緒の旅。私のわがままに付き合わせるわけにはいかないし、何より制限ある時間で都留の場所をできるだけたくさん見てきたい、ということもあったため「レンタカー一択」に。

そんなわけでの車旅。だが蓋を開けてみると・・・・旅の要所要所、富士急行線の駅たちが良い感じで登場してくれ、旅のスパイス的役割を果たしてくれた。
今回は富士急行線の駅たちを中心に、都留の旅をつづってみたい。

●谷村町(やむらまち)<谷村城下町(やむらじょうかまち)>駅


富士急行に乗らなくても、絶対にこの駅舎は目にしたい!と強く思っていた駅。
なぜなら、この外観!そこはかとなくレトロで、とにかく可愛い。
それもそのはず。1929年に建てられた当時のままとのこと。素敵だ。ちなみに、この谷村町駅。副駅名というのがある。それが「谷村城下町駅」。
ちなみにこの名は、公募から都留市と富士急行株式会社によって決定、2021年9月より導入されている。この公募の際に寄せられた、谷村町駅に対する思いや思い出の一部が都留市のホームページに紹介されている。それらを読むだけで、いいまちといい駅の存在を確信してしまった。

 

 

谷村城下町駅-駅名に「城下町」がつく、歴史あるまち。まちを歩くと、その歴史が垣間見える。
かつての城下町の雰囲気を味わいたくて山の向こうに見える雲の様子から雨が近いことがなんとなく分かりつつも、車を置いて都留のまちを散策することにした午後。

案の定、歩き出して半時間もしない間に雨が降り始めた。思いのほか、天気が変わるのがはやい印象。山が近いまちならでは、なのだろうか。
それでも都留市役所にある元気くん1号(家中川小水力市民発電所)を見たり、商家資料館を見学させて頂いたりして都留のまちを楽しみ歩く。

だが商家資料館を出た頃には、傘をさすことも躊躇するくらいのすごい土砂降り。こんなにも勢いある雨、久しぶりかも。
雨宿りするにもあてがなくて、意を決して同僚と二人歩き始める。

とにかく空から落ちる雨の水圧がすごい。
傘をさす私と、ポンチョ仕様であるレインコートをかぶった同僚。
レインコート越しとはいえ、もろに雨の強さを頭全面に受ける格好になった同僚はしきりに「頭が痛い!」「雨が痛い!!」とぼやきながら歩く。
雨にずぶ濡れの黄色いレインコート姿は・・・・まさに「ひよこ」。「雨に打たれるひよこ」の画は、可哀想だが同時に可愛くもあり。
そんな感じで、雨のまちを二人頑張って歩きを進めていくと、やがて小降りになり、空が白く変わっていった。
もう傘をたたんでもいいかも、というくらいになったとき、私たちの目の前に現れた-都留市駅。

●都留市(つるし)駅

 

とっても個性的な外観とカラーは私好みである。個人的見解だが、メキシコっぽい。なんて思ったりした。
そんな風に心が海外の旅に飛んだりしつつ、都留市駅を通り過ぎたところで、私は突然、富士山に遭遇した。しかも「黄金色の富士山」に。

駅を少し歩いた先の駐車場らしき空き地の先。駅のホームに停車中の車両に目を奪われる。
(あれ?あれは富士山では???)

 

 

一気にテンションが上がっていく。急いで背中のバッグからカメラを取り出し、遠巻きながら写真を撮る。
雨上がりの空に覆われたまちの中、意外なかたちで「富士山」を拝むことができ大興奮の私。一方、乗り物にあまり興味を示さない同僚は黙々と足を進めてゆく。

(さすが富士急行、という名前だけあるなぁ。車体も富士山かぁ。)
と感心したのだが、旅から帰った後に調べて判った。このデザインの車両、富士急行線開業90周年記念車両として、2019年6月から運行を開始したものであった。

参考記事:富士山経済新聞
https://mtfuji.keizai.biz/headline/1275/

この記事によると、「市松柄とグラデーションの和モダンを基調に富士山を金色で表現」「床やつり革など社内随所に木を使い、カーテンとシートの布地に富士山柄をあしらったオリジナルデザインを使っている」とのこと。遠くから眺めただけだったから、そんなにも貴重でユニークなものだったとは・・・!

今度都留を訪れる機会があれば、富士急行線の「この車両に」乗って向かいたい。
こうやって、次なる旅の楽しみができあがる、というわけだ。

●十日市場(とおかいちば)駅

都留市滞在の最終日、かつて松尾芭蕉が句を詠んだという「田原の滝」を一目見ようと、車で向かう。
しかし地図を確認しながら向かったにもかかわらず、滝の入口が分からずいったん通り過ぎてしまった。
少し先でUターンして再度チャレンジ。

「あ!入口ここじゃない?」と目星をつけて、幅の狭い道を運転手の同僚に強引に入ってもらう。
だが、進むごとに道は傾斜を登っていくが、どう見ても住宅エリアに入っていっている・・・。この先に滝があるようには見えない・・・・。
しかし傾斜の登り切った先に、何かの入口のような気配の建物らしきものが見える。だがその先は山の緑しか見えない。
もしかすると、この先に滝が??と思い、車から降りて走って見に行く。

・・・すると、そこは駅、であった。富士急行線の十日市場駅。

おおおーそう来たか!!と唸る。目的地ではなかったのに、なんだか予想外の富士急行線の駅の登場にひとりクスッとしてしまった。
来た道を駆け下りて行く途中、ラッキーなことにお宅の前に出られている地元のかたと遭遇!

思わず「すみません・・!田原の滝の入口ってどちらになりますか?」と声をかけさせてもらう。
すると、道を聞かれることに慣れていらっしゃるのか、
「あぁ、田原の滝ね。ちょっと分かりづらいんですけどね、大きな道をあちらに戻って・・・」と
優しい笑顔と、やわらかな言葉とで丁寧に教えていただいた。こういうとき、本当に嬉しい。
方向音痴の自分は、旅をすると道を聞くことが本当に多い。だがそれは、地元のかたに話しかけるチャンス、と思っているところある。その機会にまちの人の温かさとか優しさ、やわらかさを、じかに知ることができるからだ。
このときもこの数秒のやりとりで、都留のまちのひとのやわらかなフレームが見えてきたりして、嬉しかった。
一方的だけど、まちのひととの接点が生まれ、私の中でその「まちのいいな!」を積み上げるのだ。

 

そんなこんなで、「やっとたどり着いた!」の田原の滝。到着して、実際に滝を目の前にすると、途中で断念しなくて良かった!と、心の中でつぶやいた。それほどにその姿はすごかった。インターネットで知って想像していた田原の滝のスケールは大きく超えていた。イメージ以上に大きな滝が住宅街の中にポコンと現れ、本当に驚いた。こういう滝って、秘境にあるんじゃないの?場所、間違えてません??って滝に聞きたくなるくらいの豪快さだった。

たどり着けて良かった!都留のまちが水の里って実感できたもの。百聞は一見にしかず、を実体験できた。
画像で見ると縮尺が分からなくなるが、左の方に見える屋根、休憩スペースのベンチ。その左に車が見えるので大きさを想像してほしい!

以前のコラム、「都留市で、驚くべきものごとにたびたび出会う」のトップ画像にあるように、富士急行線って、この滝の上を線路が通っているのだ。うーむ、惹かれるなぁ。

 

レンタカーでの車旅だったのに、個性的で魅力的な駅たちが都度都度、見え隠れして現れてきた富士急行線。
次の都留市訪問では、きっとこの、富士急行線に乗るんだ!という思いを強くした。

・・・・はて、乗り物好きのこの願い、いつ叶うだろうか。叶ったときには、ここでまた思いを語りたいものである。

 

活まち書店・店員M

 

Googleストリートビュー画像・リンク引用元:Google社「Google マップ、Google Earth」