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街道・途中下車の旅。「富士みち」観光の注目スポット、都留市で富士講を感じよう。(後編)

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2022.6.15

前編では都留市の「富士山の見える景色」について紹介した。
後編では、「富士山の恵みと富士講の気配」をテーマに関するスポットについて、紹介していきたい。

都留市は、富士山の麓に位置し、豊富な湧水が各所に流れている。きっと、富士講の人々も、水の恵みを感じながら、富士山を目指したに違いない。
また、都留市にいると様々な場所から「富士講の気配」を感じることができる。
富士講の人々の歩みを感じられるスポットを4つ、紹介していこう。

■田原の滝と田原神社

田原の滝

田原の滝は、松尾芭蕉も訪問して「勢ひあり 氷消えては 瀧津魚」と句を詠んだ、都留の象徴的なスポット。
この場所で富士講信者が禊(水浴して身体を清める宗教儀礼)を行ったといわれている。
田原の滝の少し下流にある田原神社の境内には、「富士山信仰行者の禊の場」と書かれた赤い幟がはためいており、富士講の気配を感じることができる。

■十日市場・夏狩(なつがり)湧水群

夏狩湧水群

このエリアに足を踏み入れると、水の流れる音がどこからともなく聞こえてくる。平成の名水百選にも選ばれており、富士山の伏流水を源とする湧水の恵みと生活の結びつきを感じられる場所だ。豊富で美しい水を利用し、わさびや水掛菜の生産が行われているほか、長慶寺では名水「長慶薬師霊命水」を楽しむことができる。富士山の近くであることを実感することのできるエリアなのだ。

■都留市商家資料館(旧仁科家住宅)

都留市商家資料館

大正10年(1921年)に建てられた絹問屋で、館内は「郡内織」に関する多くの展示がある資料館となっている。
都留は古くから養蚕・絹織物の名産地で、この商家資料館が面する通りも、織物生産で大変栄えたようだ。
実は、富士信仰の教えでは「養蚕」が重要視され、明治以降の宗教政策の中では、各地に散在する富士講を「扶桑教(ふそうきょう)」というかたちで結集したほど。
現代では見かけることも少なくなった養蚕・絹織物も、富士講を感じる一つの要素なのだ。

■都留の道祖神

都留市には、多くの風化した石像や石碑が点在しており、その多くが富士講などの旅行者を守る意味合いを含んでいる。

今回ご紹介するのは、夏狩地区の身禄堂にあるこちら(https://tsuru-kankou.com/relics-of-the-fuji-road/)の双体道祖神。仲睦まじい男女の姿と、その台座に刻まれている三猿が特徴的だ。
都留を歩く時には、石像や石碑に注目してみると楽しい。

いかがだっただろうか。

富士山は、日本人にとって単なる山以上の価値を持つ象徴的な存在だ。それはずっと昔から続いていて、現代の我々にも影響を及ぼしている。

江戸城(現在の皇居)を起点に大月・都留経由で富士山頂を歩くルートは、130km以上の道のりになる。
富士講が盛んだった当時は、現代より道路状況が悪い上、食料や施設も限られている状況であったと想定され、その苦労は計り知れない。
富士講の人々は、都留の美しい水と文化、そして信仰心を確認できる場所に、喜びと安心をきっと感じていたのだと、想像する。

今度都留に行ったときは、富士みちを歩いて、富士講の息吹を、感じてみようと思う。

 

活まち新聞社 新人ライターS

 

<参考ホームページ>

〇やまなし歴史の道(https://rekishinomichi-yamanashi.jp/ja/

〇都留市ホームページ 商家資料館

https://www.city.tsuru.yamanashi.jp/soshiki/shougaigakushuu/bunkashinko_t/1_1/1761.html