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湯梨浜町の「湯」と「浜」を楽しんできた8月一泊旅
 

やわらぐ   すごす   たのしむ  
2022.10.19

日本に存在するハワイ-鳥取県東伯郡の羽合(はわい)町の名は、2004年泊村・東郷町との合併後「はわい温泉」に残った。これら3町村が合併して誕生した、新しいまちの名は湯梨浜町。とても美しいと思う。やわらかな響きが好きだし、名前を耳にするとつい、(どんなまちかな?)と興味を覚えてしまう。

8月の少し暑い日。その、鳥取県湯梨浜町へ出かけてきた。

湯梨浜町の「湯」は、もちろん温泉を指す。まちの中でも存在感たっぷりの東郷湖から湧き出す温泉。湖の底から湧き出る温泉は全国的にも稀有だとか。湯梨浜町には、前述のはわい温泉、そして東郷温泉とがある。

その「湯」を満喫したく、湯梨浜町の宿はやはり温泉が楽しめるところをチョイス。東郷温泉エリアに位置する、国民宿舎水明荘だ。東郷湖の湖畔に建ち、ロケーションは申し分ない。チェックイン後、荷物の整理もそこそこに温泉へ。
こちらの宿、大浴場と露天風呂とがあり気分で選べるのが楽しい。早速、5階の露天風呂に入ってみた。
スペースはそんなに広くないが、視界の「ほぼほぼ」を青空が覆い尽くす。「ほぼほぼ」の残りは、遠く広がる東郷湖の水面。
「開放感」と「解放感」どちらも満点。
湯船につかり夕暮れ時の夏空を見上げると、ツバメが私の頭をかすめるように飛んでいる。近くに巣があるのだろうか。

夏空と、湖と、ツバメに温泉。

町に到着して1時間も経たないのにもう、湯梨浜町の「湯」に大満足。
遠く江戸時代から、この東郷湖の温泉は知られていたらしい。湖から温泉って、最初に発見したひとはさぞ驚いたのではないか?二百年近く前のひとたちもこの恵みを楽しんだのかと思うと、さらに愉しい。

 

湯梨浜町滞在の二日目。
湯梨浜の「湯」をもう少し深掘り。今度は東郷湖の周辺に点在する「足湯」めぐりといこう。
温泉が豊かな湯梨浜町、まちには足湯スポットがたくさんある。ユニークなことに、それらに七福神の神様の名前がついている。つまり湖の周りに七つの足湯スポットがあるというわけだ。これはめぐらねばなるまい。

最初に訪れたのが「布袋の湯」。東郷温泉とはわい温泉との、ちょうど中間の位置にある「めぐみのゆ公園」の中にある。公園の駐車場に車を停め、綺麗に整備された小道の先にそれらしき建物が見える。
近づいていくと、先客がいらっしゃる。地元のかたかな。

布袋の湯
<綺麗に整備された公園の中にある足湯スポット>

正直なところ、そこまで大きな期待も持たずに決めた足湯めぐり。なのになのに。想像を遙かに超えたクオリティが用意されていた。
施設はとても清潔で、お湯はほんの少し熱め。浴槽の底には丸い石が敷き詰められていて、足裏のつぼ刺激も勝手にしてくれる親切な設計。今回訪れた夏の時期は周りの草が勢いよく伸びており、湖がよく見えるわけではなかったがとにかく居心地がいい。ずっといたくなってしまう空間だ。
きっと、まちのひともそうなのだろう。地元のひとと遭遇した。2度も。
地域に愛されている足湯。間違いないではないか。

まったりゆったり浸かっていたら、設備の点検で回っているかたがいらした。
浴槽横の機械を確認して、温度を見てから利用者である私たちに
「お湯の温度どうですか?」と聞いてくださった。
こんなふうに細やかに手入れと管理をされているのだろうな。まちの日常を、旅人にもお裾分けしていただいてありがたい。

 

次ははわい温泉エリアへ移動。こちらには徒歩圏内に4つもの足湯スポットが集まっている。
はわい温泉エリアで最初に訪れた「恵比寿の湯」。はわい温泉だからか、外観が南国のリゾートをイメージさせる。

恵比寿の湯

この恵比寿の湯からは歩いて
「寿老人の湯」「福禄寿の湯」「弁財天の湯」とめぐることができる。
なんと「寿老人の湯」でもまちのひとと遭遇。
やはり、なんだか嬉しい。

はわい温泉街

足湯を探しながら歩く温泉街。道路からして風情ある。
冬の時期は、やはり蟹がおすすめなのだろうか。季節を変えて、また歩きたい。蟹に会いに。

 

七福神の足湯巡りをした後は、湯梨浜の「浜」を味わいに進路を北へ。
その途中、湯梨浜のまちと海とを一望したいと思い、前に活まち雑貨店 店員Tのコラムで紹介されていた「ハワイ風土記館」を目指す。

「ハワイ風土記館」-訪れる前は、なぜ「風土記」館なのだろう、とぼんやり思っていたのだが実際に訪れてみて納得。というか、気づくのが遅いのだが。
この建物がある馬ノ山というのが、山陰地方最古最大級の前方後円墳を含む橋津古墳群(馬ノ山古墳群)があり、国の史跡に指定されている特別な場所だったからだ。
どうりで風土記館を目指す道中、いつの地点からか道路の標識に「風土記館」の文字が消え、「古墳群」ばかりが出てきていた。なんの基礎知識も持たずに出かけた私、「古墳群」に向かっているのはわかるが、風土記館はいったいどこ??と少々焦ったりもしてしまった。
幸いなことに山頂近くになると、風土記館の立派な姿が現れたので何とかたどり着けたのだが。

ハワイ風土記館
<夏の空に映えるハワイ風土記館の建物>

望み通り、湯梨浜のまちと日本海とが一望できるスポット。海からの風が心地よい。いや、少し痛いくらいかも。海が近くだということを肌で感じられる。
湯梨浜町、いいまちだな。じんわり実感がわいてくる。

まちの眺望を堪能した後は、馬ノ山の山頂から海に向かうようにして一気に下っていく。
遠くに見えた浜がぐんぐん近づいていって、やがて目の前に。
海水浴場となっている。
せっかくだから、と、浜に降り立ってみた。

日差しは強烈だが、風は夏の終わりを思わせる。この海、冬はいったいどんな表情を見せてくれるのだろう。

ひとつの季節のなかでも、たくさんの顔を見せてくれる湯梨浜町。季節の数だけ、その顔は多彩であろう。
やはり、季節を変えての再訪が必須だな。
まずは蟹と冬の浜に会うために。
そして今回の旅の季節には早すぎたが、湯梨浜の「梨」を堪能するためにと。

 

活まち出身の旅人W

【参考URL】
はわい温泉・東郷温泉旅館組合ホームページ
○足湯めぐり https://www.hawai-togo.jp/html/guide01.html#sec03